消カン物件



 最近は街のいろんなところに広告が掲げられていたりするわけでありますけれども,消火栓のカンバンにもぶら下がっていたりするんでした。
 あんまり気にとめることもないし広告としてどの程度有効なのかわからないですけれども,知らないうちに目に入っているものなんでした。
 ちなみに,タイトルの「消カン」というのは「消火栓カンバン」を縮めたものであります。あえて縮める必要もない気もしますけれども,ゴロ的に。

 ということで,最初の写真。普段気にとめない消カンでありますけれども,これはちょっと目を引いたんでした。
 いきなり「まさか? 誰も見てない!?」と言われても。

 反射的に「これはあれか。ゴミのポイ捨てとか違法駐車とかを防ぐために『誰かが見ているぞ』ということを反語的に書いているという類のやつか」と思ったわけでありますけれども,なんだかしっくりこない。
 それで,ウラには何が書いてあるんだろうかと思って,裏側にまわってみたわけでした。


 裏側は「皆さん! 見てますよね!?」ということなんでした。
「これはあれか。ポイ捨てや違法駐車をなくすために『みんなで見張りましょう』ということを言ってるのか」と思おうとしたわけでありますけれども,やはりしっくりこないんでした。

 それでしばらく「???」とたたずんでいたわけでありますけれども,「これはこのカンバン自体が『見られているのか?』と自問しているのだな」と思い至ったんでした。

「広告募集」の広告というのは時々見られるものでありますけれども,それと同じであろうと思われるでありますね。
 広告を募集しているわけではなく,むしろ「ここのカンバンって誰か見てんのかよ。いや見てますよね。お願い見てるって言って」という不安を吐露した自虐ネタになっているわけでありますけれども,それがちょっといい味を出しているような気がするわけでした。

 それが功を奏するのはカンバンをじろじろと眺める路上観察者だけかもしれないし,だからといってここに広告を出そうと考える路上観察者がいるとも思えないわけでありますけれども。

 この近辺には他にも広告になっていないカンバンはいくつかあって,


 突然「お疲れ様でした!」と言われたりするんでした。
 広告を出してくれるところは無いけれども,あそばせておくのももったいない,ということなんでありましょうか。
 まぁ,夕方見るとちょっと癒されたりする人も中にはいるのかもしれないでありますね。


 朝はこちらを見ると。
 これを見て「よし!笑顔でがんばるぞー」という人も…中には…いてほしいものであります。

 ちなみにこの裏側は,


「Smile」であります。
 外人さん向けなのか。あるいは単語学習帳的なねらいがあったりするのか。ないか。
 街の消カンすべてをこの形式の日本語英語カンバンにして,英単語の街・新潟として売り出すのもいいかもしれない。しれなくないか。


 オマケ。ちゃんと広告している消カンも多くあるわけであります。
 これは別におかしなところもないんですけれども,ちょっと「うそ,どばーん」と読みそうであるなぁと,思っただけなんでした。読まないか。


 もうひとつオマケ。
 こちらはフチのところを見るとわかりますけれども,ダンボール製のようなんでした。
 うしろには古い「消火栓」のプレートが隠れているので,見えにくくなった古いものにかえてダンボール製のものを作ったようであります。

 こういうカンバンの設置やメンテナンスと言うのは誰がやるものなのか,私は知らないんでありますけれども,うまく作っているなぁ,と純粋に感心したんでした。
 最近はパソコンである程度簡単に作れるのかもしれませんけれども,それにしても。

 カンバンの意匠とか大丈夫なのかとか,近くで火事の場合には真っ先に燃えてしまって場所がわからなくなるんじゃないかとか,いろいろ考えるところはありますけれども,問題になって炎上したりしないといいなぁと思ったりするんでした。

「まさか?」「皆さん!」は新潟市中央区・西堀前通5あたり。
「お疲れ様」は新潟市中央区・東堀通6あたり。
「笑顔で」「Smile」は新潟市中央区・古町通5あたり。
「うそどばん」は新潟市中央区・東堀通9あたり。
「ダンボール」は新潟市中央区・並木町あたり。