領域物件
このあたりは割と大きなショッピングエリアがあったり貯木場があったりするところなんでありますけれども,その裏側は企業団地的なところになっていて,休日はひっそりとしているんでした。
ショッピングエリアは休日はにぎわっているので,そのコントラストがオモシロいところではあるんでした。
その企業団地エリアに立てられていたカンバンであります。
「あなたは不審者・車に見られています」
ということで,「者」と「車」を「しゃ」としてくくっているあたりが「うまいこと言ってやったぜ」感を感じさせるカンバンになっているんでした。
もう一歩踏み込んで「不審社」も入れると自虐的でいいのではないかという気もしますけれども。
「不審車」というのはその辺に停まっていて,隙あらば誰かを車の中に押し込んで逃げて行ったりするんでありましょうか。
そこまではしないかもしれないけれども,そんな者・車に見られているというのは確かに気持ちのいいことではないでありますね。
しかし,同時に上の方には
「不審者・車を見たら110番」
とも書かれているわけで,不審者・車に見られていると同時にこちらも見なければいけないんでした。
こうなると,みんながみんなを見ているということになって,どの人間がどこから不審であるのかという境界,領域がわからなくなってくるような気がしてくるでありますね。
してみると,大きく書かれた「あなたは不審者・車に見られています」という中の「見られている」というのは,「あなたは不審者とみなされています」という意味合いなのかもしれないと思われてくるんでした。
まぁ,路上観察者が不審者として見られるのは致し方ない部分もありますけれども。
こちらも同じ企業団地エリアに掲げられているカンバンであります。
「この先 犬の散歩禁止」
ということでありますけれども,
「犬のフンの後始末を誰もしていかない為」
という理由も明記されているのが涙をさそうんでした。誰もしていきませんでしたか…。
しかし「この先」という領域を明確にしているあたりは「やはり企業なんだなぁ」と思いつつ通り過ぎて振り返ると。
裏側も同じ文面になっているんでした。
「この先」が表にも裏にも書いてあるとなると,どこからが「この先」なのかわからないし,どこまで続くのかわからないんでした。
地球上のあらゆる場所が「犬の散歩禁止」領域なんでありましょうか。
しかしこのカンバンが数センチのわずかな厚みを持っているということを考えると,逆に「犬の散歩禁止」なのはこの数センチの間だけなのかもしれないでありますね。
そう考えると,むしろ「犬の散歩は禁止する! まぁ,この数センチの領域だけだがな」という,ツンデレカンバンである気もするんでした。
その数センチが地球を一周していたりするかもしれませんけれども。
こちらは別の場所でありますけれども,やはりフン関係なんでした。しかし。
「私達のフン」 あと始末 忘れないでね。
と言っているわけでありますけれども,「私達とおっしゃいますが…キミ…誰?」と思ってしまうところなんでした。どの領域の生物なのかわからない。
まぁ,文脈からして犬なんであろうという気はするわけでありますけれども,ホントにそうなのか。
ベレー帽かぶってスカーフ巻いて靴をはいて5本指でフィーバーしていて…ヒゲ剃ってるし。
こんな,全裸に帽子とスカーフ,靴だけの髭剃りあと生物が「あとはお願いね」と道端に残していくフンをあと始末しなければならないなんて,屈辱であります。
この地域はこの生物一族に牛耳られていたりするんでありましょうか。
今写真を見ていて気付いたけれども,私はここまで顔の真ん中にある三角を,くちだと思っておりました。満面の笑顔なのかと。
しかしこれは鼻でありますね。くちはその下にある…っぽい。
そうすると,ちょっと表情も変わって見えてくるところであります。
そんなことを考えると,目のように見えている黒いのは,実は目ではなく鼻の穴なんではないか。
そして,耳に見える部分が実は目なんではないか。と思ってしまうんでした。
とんでもないエイリアンのフンをあと始末しなければならないわけで,この地域のみなさん,ごくろうさまであります。
「見られている」は新潟市東区・河渡庚あたり。
「犬の散歩禁止」は新潟市東区・河渡庚あたり。
「私達のフン」は新潟市秋葉区・矢代田あたり。