リヨウ物件



 私などは髪型に頓着したことがないので,床屋さんへ行っても「こんな髪型にしてくれ」などとは言ったことがなく,だいたいひと月に一度行ってその間にのびた分を切ってくれればそれで満足なんでした。

 むしろ「どうしますか?」なんてきかれるとどう答えていいかわからないので,そういうお店には近づかないようにしているわけでした。

 だから,行く床屋さん(美容室とかは間違っても行かない)も限られているわけでありますけれども,そのカンバンなどを眺めるのはわりと好きだったりするんでした。
 という長い前置きのあとで最初の物件であります。

 床屋さんや美容室のカンバンで特徴的なのは,ハサミの使い方でありますね。
 こちらのお店では「カット・パーマ」の文字にうまくハサミをあしらっているんでした。こういうフォーマットが「理美容看板カタログ」みたいなのにあるのかもしれないですけれども。

 ただ,実際の床屋さんのハサミというのがこういう形だったか,これだとハサミ閉じないんじゃないのか持ちにくいんじゃないのかなどと思ってしまうところでありますけれども,「持つところになんか突起がついてたよな」くらいの感じがなんとなくわかればそれでいいのかもしれないんでした。


 こちらは,すぎさきさんのお店のようであります。
 文字のとめがみんな丸くなっているのがカワイイ感じでありますけれども,やはりポイントは「ぎ」の濁点なんでした。

 カンバンを作るときに「どこかにハサミとか入れたいけどなー」などと考えていて「お。濁点濁点♪」と思いついたときにはうれしかったんではないかと,勝手に想像してしまうところであります。

 もし「すぎざき」さんだったらハサミはふたつになったでありましょうか。そうすると,ちょっとうるさくなってしまうかもしれないので,ひとつでちょうどよかったかもしれないでありますね。
 もし「ずぎざぎ」さんだったら…。そんな人はいないか。


 こちらはフカイさんのようであります。
 名前にハサミを盛り込むのはちょっと難しいけれどもやはりハサミは使いたいということで(違うかもしれませんが。私の妄想です),ハサミそのものをマークとして使われているようなんでした。

 しかしこれはハサミというよりも,フカイ仲の男女のロマンチックというか野生の場面のような感じも見てとれてしまう気もしてきてしまうような感じもなきにしもあらずと言っても過言ではないかもしれない可能性もあるような図案であります。下の人(なのか),ちょっとポニーテールっぽいあたりも。

 あるいは,この形は「フ」「カ」「イ」という文字の形をすべて包含していたりするのかもしれませんが。見ようによっては,ほら,あれがフでこれがカで…うむむ。ムリか。


 オマケ。こちらは永井さん専用駐車場のようであります。お店を閉じたので,業種部分のみを消されたんでありますね。

 とはいえ,何のお店であったかというのはもう,消された文字に関係なくわかってしまうんでした。むしろ文字よりも明確にわかってしまうところであります。
 フランス料理店だったんでありますね。(違

「カットパーマ」は新潟市東区・物見山4あたり。
「すぎさき」は新潟市東区・牡丹山5あたり。
「フカイ」は新潟市中央区・信濃町あたり。
「専用駐車場」新潟市東区・紫竹6あたり。