慈悲物件



 さる神社の拝殿前に掲げられたハリガミであります。
「一週間ごとに点検するので,中の賽銭箱には金はありません」
とのことなんでした。

 ちょっとせちがらい感じもしてしまうところでありますけれども,何度も荒らされたことによる苦肉の策なんでありましょうか。
 罪をおかしてしまう前にこのハリガミを見て,断念して改心してもらいたいところであります。

 しかし,逆に本当に悪いやつだと
「ほぅ。一週間ごとということは,点検しない日の方が多いし,点検から6日目を狙えば効率いいということだな。そうか。けけけ」
と考えたりしないかと,心配してしまうところでもあるんでした。

 あるいは,神社のほうで
「一週間は点検しないので,本当に困っているのならその間に持ってお行きなさい」
ということを暗に伝えているという慈悲深いメッセージだったりするんでありましょうか。
 慈悲って仏教語だったような気もしますけれども。

 本題とは違いますけれども,この「点検する」というのを「回収する」という書き方にするとずいぶんと印象が変わってくる気がするところでありますね。


 こちらは別の神社の手水場に掲げられていたハリガミであります。いわく
「昨年より,「タカ」の仲間の「ハヤブサ」らしい鳥が,手洗の所で,小鳥を食べているようで,水を止めてあります。(子供を育てているようなのですがなかなか姿を見せません!)」
とのことなんでした。

 長文ハリガミであります。そして生々しい。
 確かにそういうところで手を洗うというのはちょっと遠慮したくなるような状況なんでした。

 しかし「タカの仲間のハヤブサらしい鳥」とか「子供を育てているよう」とか,ハリガミ主は鳥に詳しい人だったりするんでありましょうか。
 使う人の気持ちも考えつつも,子供が育つまでは手洗場の使用は我慢してくださいという,ハヤブサらしい鳥に対する慈悲の心も見え隠れするような気がするわけでした。


 こちらは一般家庭の煙突であります。しかし屋内からの排煙ルートは閉じられていて,無用煙突になっているんでした。

 本来の機能については無用でありますけれども,朝顔にとっては有用煙突になっているようであります。
 たくさんの朝顔に囲まれているんでした。

 家主の人もそれがわかっていて朝顔のために慈悲心をもって煙突をのこしているんでありましょうか。煙突も第二の人生を楽しんでいるかのようであります。
 単に完全撤去が面倒だけだったのかもしれませんけれども。


 オマケ。こちらは,民家の間の狭いスペースであります。
 そこに犬のフンを捨てるという悪い人がいるんでありましょうか。「犬のフン すてないで!」と書いたプレートをブロックにまきつけて訴えているんでした。

 あるいは,これは「犬野フン」さんという人に振られた人が「すてないで!」と必死に訴えているんでありましょうか。
 もしそうなら,犬野さんは慈悲をもって考え直してあげてもらいたいものであります。結婚すれば姓を変えられるかもしれないし。
 違うと思いますけれども。


 オマケの2。その「犬野フン」さんのお宅でありましょうか。
 違うと思いますけれども。

「一週間ごと」は新潟市中央区・長潟あたり。
「ハヤブサの」は新潟市東区・岡山あたり。
「朝顔煙突」は新潟市中央区・田町3あたり。
「すてないで」は新潟市中央区・本町通5あたり。
「表札」は小千谷市・元町あたり。