移動物件



 コンクリート製のよく見かける電柱と,塀に挟まれている「かつて電柱であったであろうモノ」であります。塀の高さで切られてはいますけれども,おそらくは旧電柱。

 この旧電柱の方は,なにやら不思議なたたずまいでありますね。律儀なまでにピッタリとおさまっております。
 わざわざそうしているというのは,電柱の方が先に存在していたんでありましょうか。塀はもともと垣根とかもうちょっとヤワな存在だったものを,防犯等の目的であとからブロックにしたのか。

 しかし時代の流れから木製は役目を終え,コンクリにする際に電柱位置も移したということでありましょうか。
 でも木製を撤去しようとするとブロック塀にスキマができてしまうので,高さだけ揃えて残したと。いやよくわかりませんけれども。

 あるいはひょっとすると,コンクリ電柱はうしろに見えるコンクリ灯篭と木製電柱のあいだにできた,ふたりの遺伝子(あるのか)を宿した子どもなんでありましょうか。
 ひょっとしないか。


 さるお宅の土台部分であります。浮いているように見えるんでした。
 私は建築に明るくないのでよくわかりませんけれども,心配はないんでありましょうか。

 移動を前提としたお宅で,このまま車に接続してキャンピングカーになったりするのかどうか。
 あるいは,これからテイクオフして空を飛んでいくんでありましょうか。
 寝てる間に飛んでいて,外がいつまでも暗いなぁと思って窓の外を見たら宇宙空間だったとかいうことはないんでありましょうか。
 ないか。


 ちょっと大き目の室外機であります。配管も少しゴツい感じできっちりと設置されているんでした。

 そのうしろではツタが地面から上へ伸びようとしているわけでありますけれども,途中まで配管を利用して伸びてきたものの,さらに上へ行こうとしたところを今度は阻まれてしまっているんでした。

 行きたい方向に壁がある場合,乗り越えるか回避するかしなければならないわけであります。
 我々から見ると「そのくらい乗り越えればいいのに。まぁ,乗り越えてもなんにもないけどなー」と思えますけれども,当のツタたち(なのか)からすれば,壁の向こうはどんな世界になっているのかわからない大冒険だと思われるんでした。

 今回は熟考したうえでの回避作戦をとったようであります。我々のようなツタない考えはしないんでした。ツタだから。(すみません)


 こちらも室外機であります。
 ブロックでゲタをはかせているものも割と見ますけれども,ここまで高くしているのはあんまりないような気がするんでした。
 ブロック五段積み。最初からこうなのか徐々に上に移動してきたのか。

 しかしこのゲタをはかせるというのは,雪対策なんでありましょうか。この場所は新潟市の中心部近いので,それほど積もりはしないんでありますけれども。

 ひょっとすると,このお宅の人は室外機マニアなんでありましょうか。
 室外機が好きでたまらないんだけれども,家の中に置いておくわけにもいかないし,来客を考えると窓の外に常時見えるようにもしておけない。
 そこで,屋外犬を飼うように,窓を開ければすぐに「おー。よしよし。かわいいかわいい」と撫でられるような位置に室外機を設置したのかもしれないんでした。
 しれなくないか。

「新旧電柱」は新潟市中央区・山二ツ4あたり。
「テイクオフ」は新潟市中央区・山二ツ4あたり。
「配管壁」は新潟市中央区・古町2あたり。
「高床室外機」は新潟市中央区・幸1あたり。