ダミー物件
畑のカカシ代わりにマネキンの頭部を刺しておくというのは時折見かけるものでありますけれども,これだけなんというか凄絶な感じのするものもあまりないんではないか,と思ってしまうんでした。夢に出てきそうであります。
色黒であるとか日に焼けたとかそういう感じの色ではなく,火をつけ燃やされたという色合いであって,なおかつ目をカッと見開いているというのが「火あぶりになったけれどもまだ生きている」というような想像をさせるんでありましょうか。とにかく怖い。
しかし,作物を狙う鳥なんかの目には,これはどう映っているんでありましょうか。
「なんか茶色い丸いのがあるー。眼みたいのがあるけど人じゃないよねー」
くらいにしか見ないんではないか。カラスなんかは頭もいいらしいから
「ふむ。人間っぽいけれども,頭部しかないんであればこちらを追うことも攻撃もできまい。脅威なし」
と見て,畑を荒らしまくるんではあるまいかと思ってしまうところであります。
頭がいいといっても想像力とか情感はないだろうし。
してみると,これは動物よりも人間に対するカカシなんでありましょうか。
「畑に入るとこうなるぞ」
という警告なのかもしれず,あるいはこれはすでに「こうなってしまった」ホンモノだったりするのかもしれないんでした。しれなくないか。
それにひきかえ,こちらはどうでありましょうか。
トラだから,本来こちらの方がよほど怖いはずなのに。むしろ「カワイー」と思ってしまうところであります。
だから,これは対人間ではなく,鳥獣に向けてのものだと思われるでありますね。
しかしやはり,これも鳥獣から見たらどう見えるんでありましょうか。
確かに「なんかヘンなのいるー」くらいには警戒するのかもしれませんけれども。
だいたいが,人間は知識として「トラという恐ろしい生き物がいる」というのを知っているけれども,日本の鳥獣は基本トラなんか見たことがないわけで,その造形によって逃げたりするんだろうかと考えてしまうところであります。
実際には,写真の枠外には本物のカラスの死骸がつるされていて,農家の本気度はそちらで見ることができるんでありますけれども,それとの対比がなんだかオモシロいんでした。
オマケ。こちらは擬木を使った水飲み場であります。
まぁ,無味乾燥になるよりもいいんだろうかという気もしますけれども。
しかし,大きな木の切り株的なところからにょきっと一本生えていて水が出てくるという,なんだかこう,形状的に釈然としない感じがぬぐえないところなんでした。
もひとつオマケ。
マンホールであります。鉄蓋がずれて,穴が見えております。
ただ,そのずれた鉄蓋には外枠も一緒についていて,鉄蓋の存在意義が問われるような形になっているのがなんだかオモシロかったんでした。
「生首」は新潟市東区・豊1あたり。
「トラ」は新潟市西区・赤塚あたり。
「擬木」は新潟市秋葉区・新津本町2あたり。
「鉄蓋」は新潟市中央区・文京町あたり。