郵便物件



 郵便配達というのはやったことないけれども,時間に追われたりノルマがあったりするとかいうことを聞くので,タイヘンなのだろうなぁ,と思ったりするわけであります。ごくろうさまであります。

 でもときどき「郵便様のお通りでぃ。多少の無謀は許されるんだぜ」的な運転をする車やバイクがいたりするのは勘弁してもらいたいものでもあるんでした。(物件と関係ない話)

 あと,郵便配達の人は別に郵便を売っているわけでもないのに郵便屋さんと呼ばれたりするわけでありますけれども,その方が流れがいいのでここでも郵便屋さんと呼ぶんでした。

 そんなわけで,最初の物件であります。郵便受け的な差し入れ口に「郵便物入れない事!」とハリガミがされているんでした。

 郵便屋さんとしてはちょっと困りそうであります。マゴマゴしてしまいそうであります。
 新聞を入れるのは,いいんでありましょうか。
 どうすればいいのかマゴマゴしているのを尻目に新聞屋さんがニヤリとこちらを一瞥しつつ「夕刊でーす」と差し入れ口に入れていくのを見ながら,地団太を踏んだりするんでありましょうか。
 あわれなり,郵便屋さん。

 あるいは逆に,このお宅の人は郵便やさんにはただ郵便を投げ込んでいくんではなくて,直接手渡してもらいたいのかもしれない。コミュニケーションをとりたいのかも。

 しょうがないので玄関を開けて「郵便でーす」と言うと,待ち構えていた家の人が出てきてお茶を出したり肩をもんだり世間話をしたりして,楽しい時間をすごせるのかもしれない。

 それを見ていた新聞屋さんが玄関を開けて「夕刊でーす」と言っても「そう。そこに置いといて」とつっけんどんに言われたり「誰が入ってきていいと言ったの!」と怒られたりするのかもしれないんでした。
 あわれなり,新聞屋さん。


 逆にこちらは「郵便物はこの中に入れて下さい」ということなんでした。

 しかし,この大きさはどうでありましょうか。どれだけ大きな,あるいは大量の郵便物が来るんでありましょうか。
 郵便屋さんもタイヘンであります。いちいち手で入れていると手間がかかるので,大きなバケツに入れた郵便をスコップでわっせわっせとこの中へ放り込んでいくのかもしれないでありますね。(そんなことはしません。たぶん)

 あるいはこれは食虫植物ならぬ食郵便屋さん植物であって,「郵便物はこの中に」という言葉に誘われて郵便屋さんがフラフラと近づいてくる(郵便屋さんの習性)と,いきなりガバッと扉が開いて郵便屋さんを中に引き込んでしまうのかもしれないんでした。
 あわれなり,郵便屋さん。


 こちらは手書きではありますけれども,いわゆる顔郵便マークというものであると思われるんでした。

 その,郵便の象徴でもあるはずの彼(なのか?)が「新聞はこちらへお願いします」と言っているわけで,これを見た郵便屋さんはガーンとその場でしばし立ち尽くしたのちに「こ,この裏切り者ぉっ!」と涙を流しながら走り去ってしまうかもしれないんでした。

 せめて「新聞も」と言ってくれればというところでありますけれども,民営化以降は使用されなくなっていると思われる顔郵便としても,郵便屋さんに対してはいくばくかの恨みがあってもしょうがないところかとも思ってしまうわけでした。

 新聞屋さんとしてもちょっと戸惑うかもしれないでありますね。
「え? キミ…郵便の仲間じゃん。オレにそんなこと言って…いいの? 誘ったのはキミの方だからね。じゃ…遠慮なく入れさせてもらうよ」
 ということで,顔郵便は新聞屋さんのものなってしまう…のかもしれないんでした。
 あわれなり,郵便屋さん。


 オマケ。これは郵便でも新聞でもないですけれども。

「ホワイトハウス 入居者以外の ゴミ出し禁止」ということなんでした。
 まぁ,たまにある物件ではありますが。

 しかし,ホワイトハウス入居者といえば米国大統領であると思いますけれども,大統領はいつもここまでゴミを出しに来るんでありましょうか。

(これを読む時点の大統領とファーストレディーの顔を思い浮かべてお読みください)
「ちょっとアンタ,ゴミ出しはアンタの係なんだから忘れないでよね」
「でもさぁ…。遠いんだよなぁ。なんでうちのゴミ置き場,ジャパンのニイガタなんだよ」
「しょうがないじゃない。町内で決まったんだから。ちゃんと出さないと町内会長に怒られるわよ」
「わかったよ。行くよ…」ガチャ。プルルル。
「…あ。空軍?エアフォースワン出しといて。ゴミ出してくるから」

…しばらくしてうなだれて登場する大統領

「おかえり。アンタ。あら。なんでゴミ持って帰って来てんのよ」
「もうちょっとだったんだけどさぁ。収集車行っちゃった…。間に合わなかった…」
「もう,こんなこともできないなんて。甲斐性なし!」

…などという会話がホワイトハウスでは繰り返されているんでありましょうか。
 あわれなり,大統領。

(これはあくまでも私の妄想であり冗談であります。大統領を侮辱しているわけではないのでCIAの方はこれを読んでも私を闇にほうむらないでくださいませ。お願いします)

「入れない事」は新潟市中央区・本町通12番町あたり。
「入れて下さい」は新潟市中央区・上大川前通5番町あたり。
「新聞はこちらへ」は新潟市中央区・本町通6番町あたり。
「だいとうりょう」は新潟市中央区・本馬越2あたり。