飛び出す物件
子どものころ飛び出す絵本というのがあって(今もあるだろうけれども)ウルトラセブンやらが絵本から飛び出していた記憶がありますけれども,我々が通常見ているものというのは基本的に3Dであります。
だから立体物をそんなにありがたがる必要はないんではないかと思うわけでありますけれども,2Dのものが3Dになるというそれ自体がオモシロいんでありますね。
裸眼立体視や錯覚というのは脳がだまされるのをあえて楽しむというオモシロさがあるわけでした。
という長い前置きのあとに,上の物件であります。
ツタのような植物がプランターから上に伸びているわけでありますけれども,中空を斜め前方に自立しているように見えるんでした。
しかし実際は通常のツタと同様に,壁にくっついて伸びているわけであります。
壁の補修あとがツタの影のように見えるために,写真で見ると浮かんで見えるんでした。
こちらは,なんというのかわからないのでとりあえず標識柱と言っておきますけれども,「バルブが前にあるよ」ということをしらせている標識柱のようなんでした。
それが,どういう理由かわかりませんけれども右に傾いたようで,壁の無塗装部分が影のように見えてしまっているんでした。
結果,これも写真で見ると標識柱が手前側に傾いているようにも見えてくるわけでした。(そう見えてなかった人は「ああ。そういう見方もあるか」と思って脳をだましてもう一度見てみましょう)
しかし,なぜこんな傾き方をするのか。壁を傷つけずに標識柱だけ傾いているので,車がぶつかったとかいうことでもないようでありますけれども。
これを撤去しようとしたけれどもできなくてあきらめたのか。
あるいは,標識柱というのは成長するものなんでありましょうか。
「オレはいつまでもバルブの標識じゃない! もっと大きなものの標識になるんだ!」という脱皮の最中だったりするんでありましょうか。
こちらはパイロンであります。
通常は地面に置かれているものでありますけれども,これはポールにかぶさるように置かれているんでした。
それで,写真で見るとどこに置かれているのか距離感と大きさがちょっと混乱してしまうわけであります。
普通は土台の位置が地面なので,実際より奥に巨大なパイロンが置かれているような錯覚をしてしまう可能性があるんでありますね。(「えー。そんな風に見えん」という人はもう一度あえて脳をだましてみましょう)
そういう錯覚なしにしても,実際に飛び出しているパイロンではあるんでした。
最後は錯覚ものではありませんけれども,交差点の注意喚起カンバンであります。
書き直されていて,下の文字もうっすらと見えるんでした。
下には「子供 飛び出し スピード出すな」的なことが書かれていたようでありますね。
あえて書き直すまでもないような変更である気がするわけでありますけれども,それを書き直したということは,現実にそぐわなくなったということなんでありましょうか。
つまりは,子どもがこの辺にはいなくなってしまったということなのかもしれないんでした。だとしたら律儀な話であります。
しかしこの辺の地域では,この先子どもが生まれる可能性というのもなくなってしまったんでありましょうか。
そしていつかまったく住人がいなくなってしまったら「スピード出し放題!」という表示になっていったりするんでありましょうか。
「自立ツタ」は新潟市北区・松浜7あたり。
「脱皮標識柱」は新潟市中央区・本町通11あたり。
「パイロン発射」は新潟市江南区・茅野山2あたり。
「飛び出さない」は新潟市江南区・茅野山2あたり。