残留物件

残留物件


 トマソンで言うところの,原爆タイプになるか蒸発タイプになるか。そこにあったものがなくなって,その痕跡のみが残っているというやつでありますね。この物件では,長年壁に貼ってあったであろう六角形の掲示物がなくなったのだけど,その跡がくっきり残っているということなんでした。

 で,この六角形を見た人が何を連想するかというと,8割以上の大人が「あ。醤油だ」と思うんではないかと思われるのでした。
 キッコーマンだかキッコーシンだかジマン醤油だかはわからないけれども,その六角形の看板が蚊取り線香なんかの看板と一緒に民家の壁に張り付いているのは,ある世代にとってはすりこまれている風景ではないかという気がするわけなんでした。

 このカンバンはなぜ外されたのか。壊れてしまったのかマニアが持って行ったのか契約が切れたのか。それはわからないけれども,外されてなお宣伝効果を発揮しているこのカンバンには,何か残留思念のようなものが感じられるのでした。
 いやホントに醤油のカンバンだったのかどうかはわかりませんけれども。だいたい,醤油の看板というのはこういう風に六角形をしていたものかどうか。確かにマークは六角形なんだけど,看板自体は普通の四角形のような気もするし。でもやっぱり,この形を見て連想するのは醤油なんでした。

 関屋恵町か関屋大川前あたりにあるお宅の壁面。