許物件

許物件


 例によってゴミ捨て場のカンバン。ゴミ捨てカンバンにもタイプがあるわけだけれども,これは「部外者タイプ」でありますね。部外者によるゴミ捨てを禁ずるタイプ。他には「分別タイプ」とか「時間タイプ」とか「清潔タイプ」とかがあるのでした。
「部外者タイプ」は,部外者相手だけあってキツイ言い方になる場合が多いわけですね。さらに「1万円頂く」とか「バツ当番をやってもらう」とか具体的な処罰が書いてあることが多い。

 しかるに,このカンバンの場合,「許しません」と丁寧にしてあいまいな表現がなされているのでした。
 しかし,それがかえってブキミな印象をあたえるわけで,「いくら逃げても地の底まで追っていって必ずや成敗してくれるわ」と言われているような気になるのでした。「お金や処罰の問題じゃあねえ。たとえお上が許しても,我々9番町住民の正義が,貴様の悪の心を許さぬのだ。てめえら人間じゃねえ。たたっ切ってやる」と言うかどうかはわからないけれども,そんな感じ。

「許」にだけルビがうってあるのにも,なにやら怨念めいたものを感じたりするわけなんでした。なんだか,違反すると9番町の住人がわらわらと出てきて取り囲み,袋叩きにされたあとは黒いゴミ袋に入れられてステーションに捨てられそう。その後やってきた清掃人は「ん? なんだかこの袋だけ重いな」とか言いながら清掃車に袋を投げ込むと…。きゃあ。