入れない物件



 小さな交差点の角に立つお宅の壁面であります。
 かつては入り口になっていたんであろうかという部分が,上のひさしというか破風というか屋根みたいな部分を残してピッチリと閉じ固められているんでした。

 写真左側に手前の道と交差する通りがあって,そちら側の面には普通の出入り口があるので,こちらが本当に出入り口だったのかどうかわかりませんけれども。

 しかしこの屋根部分があることによって,無用出入り口がかなり強調されている感じでありますね。トマソンの額縁となっております。
 まぁ,これを取り除くというのはタイヘンなんであろうとは思いますけれども。

 あるいは,道行く人が急な雨に降られた場合に雨宿りできるようにあえて残してあるんでありましょうか。
 かなりスリムな人手ないと濡れてしまいそうではありますが。交差する通りはアーケードになっているので,そちらへ駆け込めんだほうがいいというのもあるし。


 こちらは,木製の引き戸もいい感じな,ごく普通のお宅の玄関先であります。
 ただ,引き戸のわきにハエたたきのようなものが下がっているのが気になってしまったんでした。この屋外でハエをたたいたりするもんであろうかと。

 しかしハエたたきにしては目が粗いような気もするので,ハエたたきではないのかもしれない。
 でもフトンたたきにしては弱そうだし。

 そうすると,これは人たたきだったりするんでありましょうか。
 気に入らない客やしつこい勧誘なんかが来た場合には,これで撃退するのかもしれない。
 それでひるまない相手には,下のスコップが登場したりするのか。自らはバケツをかぶって防御しつつ戦うのかもしれないんでした。しれなくないか。

 左側の窓にかかるすだれも,なんだか微妙な位置であります。
 真ん中から両側に半分だけ窓を開けるようにするなら,効率のいいかけかたなのかもしれませんけれども。

 いろいろ考えられていて,手ごわそうなお宅であります。セールスの方は気をつけないといけないかもしれないんでした。


 こちらは,さるお宅の壁面に設置されたパイプであって,なんらかの事情で独立してしまった雨どいかと思ったわけであります。
 しかし,屋根につながっていたんであればここで角度をつける必要はないであろうし,なによりいちばん上の部分がクイッと下を向いているあたりが,雨どいではないのだろうなぁ,と思わせるんでした。

 まぁ,その道の人が見れば常識的なことなのかもしれませんけれども,私はずぶのシロート(なんだ?ずぶって)であるので,いろいろと考えてしまうわけでした。

 このお宅の下の階には人魚と結婚した男が住んでいて,下の階は海水が満たされているのかもしれない。
 人魚と同じ部屋ですごしたい男は,この特注シュノーケルを使って呼吸しながら海水の中で暮らしているのかもしれない。とか。

 下の階に住む「死んだってタバコはやめるもんけぇ!」と誓っていたガンコなじいさんが,孫が生まれたのを機にタバコをやめようとしたけれどもどうしてもやめられない。
 かと言って孫とは一緒にいたいということで,この特注キセルを使って喫煙しているのかもしれない。とか。

「2階から見る地面マニア」の少年が重い病で起き上がれなくなってしまい1階の寝室で寝たきりに。
 このまま「2階からの地面」が見られないままだと気落ちして病状が悪化してしまうので,床の中からでも地面を見ることができるよう,両親が特注の潜望鏡を…。とか。どんなマニアなのか。

「あまやどり」は新潟市中央区・古町通12あたり。
「ひとたたき」は新潟市中央区・赤坂町2あたり。
「地面マニア」は新潟市中央区・四ツ屋町1あたり。