白身物件



 先日,直江津を歩いたわけでありますけれども,直江津が含まれるところの上越市は,どうやら
「白身が泳ぐまち」
であるらしいんでした。

 魚屋さんの店頭であるので,おそらくは「白身魚がたくさんとれる町ですよ」という意味合いのような気がするわけでありますけれども,私などは「白身」とだけ言われると刺身になっているようなものを思い浮かべてしまうので,直江津の海に潜ると白身の刺身がトレーに入ってスイスイと泳いでいるような光景を想像してしまうんでした。
 うしろからは,わさびやしょうゆ入れもついてくるのかもしれない。

 私はそのように想像しましたけれども,「白身魚が空中を泳いでいるのを想像した」という方もいたので,人の想像力というのは多彩なものであります。

 あるいは,これは魚のことを言っているのではなくて,タマゴの一部分のことなんでありましょうか。
 焼くと白くなるけれども生だとヌルヌルズルズルしているアレが,まちを泳いでいるんでありましょうか。
 歩いていて,空中を漂うヌルヌルに顔を突っ込んでしまったら,イヤでありますね。
 あと,黄身のほうはどうなってしまったんでありましょうか。


 こちらも直江津で見かけたカンバンであります。「肉のいろは」ということなんでした。

 ひょっとしたら裏側には「うつりにけりないたづらに」とか書かれているかと思いましたけれどもそんなことはなく,同じように「肉のいろは」だったんでした。

 やはり「いろは」というのがお店の名前である肉屋さんなんであろうと思われますけれども,文字がカラフルであるがゆえに,「肉の色は?」と質問されているかのように感じてしまうんでした。

「てめえらの血は何色だぁーっ」という漫画のセリフがありましたけれども,肉の色を質問されるとちょっと当惑してしまうところでありますね。
 人間の場合,血はだいたい赤であって,ほとんどの人は実際に自分の血が赤いというのは見ていると思いますけれども,自分の肉まで見るとなるとホントの大ケガになって,想像するだけで気を失いそうであります。

 意外と,人間も白身人間とか赤身人間とかあったりするんでありましょうか。ないか。
 短距離走向きの筋肉と長距離走向きの筋肉なんかが,白とか赤とか言ってたような気もしますが。


 オマケ。
 こちらは,古くからの町の電器屋さんのようであります。左側にいるのはポンパ君でありましょうか。
 テレビのスイッチをポンと入れるとパッとつく,からポンパ君であったと思いますけれども,それがテレビの売りになっていたのも,そんなに古い時代ではないような気がするのが怖いところであります。

 カラーテレビのキャラクターであるだけに極彩色であったはずのポンパ君も,もはや色あせてほとんど身が真っ白になってしまっております。
 カラーテレビの普及に全力を尽くし,真っ白に燃え尽きてしまったんでありましょうか。

「およぐ」は上越市・中央2あたり。
「いろは」は上越市・中央2あたり。
「ポンパ」は新潟市東区・有楽1あたり。