怨嗟物件



 ハリガミ界の御三家のひとつに数えられるかもしれないのが,犬フン系のハリガミでありますね。
 あとはまぁ,ゴミ捨てとか駐車場とか花壇とか…。その辺はハッキリしませんけれども。だいたい,御三家とか三大ナントカというのは,数えだすと6〜7個くらいはあるものであります。
 それはともかく。

 上の写真のハリガミというか,すでに紙でもなくなっているわけでありますけれども,
「白い雑種犬を連れた女に告ぐ 犬のフンの始末は自分でしろ! フンの放置は犯罪である!」
という,少し過激な感じの文言になっているんでした。

 とはいえ,内容自体は「フンの始末は自分でしましょう。放置は犯罪ですよ」という,ごく常識的なものであります。
 過激な感じがするのは,最初の「白い雑種犬を連れた女に告ぐ」があるからであろうと思われるんでした。

 これはもう対象の相手が完全にわかっているわけで,そのただひとりに向けて発せられている罵声だから,読む側としては臨場感というのを感じてしまうわけでした。
 怨嗟的な物件と言えるでありましょうか。

 こういった怨嗟的ハリガミというのはうちの過去物件にもいくつかありますけれども,今回の物件の特異さというのは,その材質でありますね。
 通常であればこういったものは紙に手書きで書かれているものでありますけれども,紙でなく薄いプラスチックのようなものにキッチリとしたフォントで印字されているんでした。

 手書きであるがゆえに怨念が感じられるということは,もちろんあるわけであります。
 しかし,このように(おそらく)金がかかっている,ということを見せつけられることによって,このハリガミ主の本気度というのが見えるような気がして,戦慄させられるわけなんでした。

 でもまぁ,こんな立派なハリガミを作ってるヒマに本人つかまえて説教すればいいだけのような気もしますけれども,いろいろと事情もおありなのかもしれないし。

 白い雑種犬を連れた女性以外がここに犬フンを放置した場合,ハリガミ主はどう対応するんでありましょうか。
 その人だけがターゲットで,それ以外はスルーされるのか。それとも,またもう一枚ハリガミを発注するんでありましょうか。

「告ぐ」は新潟市中央区・上大川前通2あたり。