ゆるすな物件



 私が街を歩くときは基本的にひとりで,きょろきょろしながらだらだらと歩き,突然あらぬ方向を見てはにやりとしてカメラを向けたりしているわけで,ハタから見れば不審者以外の何者でもないであろうと思われるんでした。
 だから突然「許すな不審者!!」と言われてしまうと,「えええ。いきなりかっ」と思ってしまうわけでした。

 これが「許すな変質者!!」であれば「その通り!やっちゃえやっちゃえ」であるし,「不審者に注意!!」であれば「うん。まぁ,それはしょうがないよな」と思うのだけれども,「何者かわからぬ者は,とにかく許さぬ!そこになおれ!手打ちにしてくれるわ!」ということでは,怖くて歩けないんでした。

 いやそこまでは言ってないかもしれませんが。
「不審」なのがいけないのであって,不審がられる行動をとらずに何をしているかわかるように行動せよ,ということなのかもしれませんが。

 でも,無用階段を見せて「ほら。この階段おもしろいでしょ。上って下りるだけなんですよ」とか言っても「???」だろうし,マンホールの蓋を見せて「この字の形,いいですよねぇ。うっとりしますよねぇ」なんて言っても「・・・」だろうしなぁ。

 本の一冊でも出してれば,それを持ち歩いて「ほら。こういうことやってるんですよ」と言えるのだろうけどなぁ。手作りするか。いやいや。

 村上市・岩船港町あたり。