とまれ物件



 今回,ほぼ「とまれ」ばかりのショートでお送りします。

 日本の地面に最も多く書かれている言葉は「とまれ」なんではないかという気がするわけでありますけれども,小学校の近所なんかではより一層多くなるようなんでした。

 最近(でもないか)はシロートでも手軽に「とまれ」を表示することのできるキットも売られていたりするようでありますけれども,割とよく目にするのは「停止線のついたサークル」「とまれ」「足型」のセットなんでした。

 ということで,上の物件。
「とまれ」の文字は無いですけれども,おそらくは「とまれ」であります。
 サークルもあったようでありますけれども,一部を残して停止線だけになってしまっているんでした。
 しかし直線と足型だけがあると,踏切線のような感じもしてくるでありますね。
 ここからジャンプして,飛び込んでいってしまわないようお願いしたいところなんでした。


 こちらはサークルも文字もありますけれども,右足かかと部分が無いんでした。
 かかとを上げて,ジャンプの体勢あるいはクラウチングスタートの体勢に入っているかのようであります。

 ジャンプしないまでも,ここでは右のかかとだけを上げて停止しないといけないんでありましょうか。
 それもなんだか疲れそうでありますね。


 こちらは文字と足型だけでありますけれども,足が平行にそろっていて,お行儀よさそうなんでした。
 お嬢様の通う学校だとこんな感じになるんでありましょうか。でもここはそんなお嬢様小学校じゃなかったような気もしますが。
 あるいは,太ってかかとがつかなくなっただけ…なんてことはないか。

 あと,ちょっと「とまれ」の文字があまり上手でないので手書きなのかな,とも思ったわけですけれども,前の「かかと上げ」の「とまれ」もほぼ同じ字のようであるので,こういう型なんでありましょうか。
 それにしては「ま」の丸がキチンと抜けているけれども…。


 こちらは別の小学校近くであります。
「とまれ」4連発。「とまれとまれとまれとまれ」と,水戸黄門の「静まれ静まれ静まれ静まれ」を思い出させるような連呼なんでした。
 もっとも,今の小学生に水戸黄門と言ってもポカンとするだけかもしれませんが。

 あるいは,この歩道を3列で歩くときには,真ん中を歩く児童は二回とまらないといけないんでありましょうか。
 誰が真ん中を歩くか,子ども達の中では争いが繰り広げられたりしているかもしれないでありますね。しれなくないか。


 と思っていると,校門を出たすぐのところは「とまれ10連発」になっているんでした。
 10人が一斉にこの文字のところに止まるんでありましょうか。
 アメフトでも始まりそうでありますね。一番うしろのひとりはクォーターバックか司令塔か。
 戦略的な道路横断が実行されていそうなんでした。


 オマケ。これは「とまれ」ではありませんけれども。同じ小学校に掲示されていた標語であります。
「わたっちゃえ あなたの心に 赤信号」
という,立派な標語であります。

「わたっちゃえ」と思う悪い心を自らストップさせましょう。ということでありましょうか。素晴らしいでありますね。

 ただ,私は最初この標語カンバンの左側から歩いてきたので,
 「赤信号 あなたの心に わたっちゃえ」
と読んでしまったんでした。
 こうなると「赤信号を見て,あなたの心に『わたっちゃえ』という悪魔のささやきが聞こえました」ということになってしまいそうなんでした。
 ささやきに耳を貸さないで交通ルールを守っていただきたいものでありますね。

「踏切線」「かかと」「行儀」は新潟市中央区・関屋下川原町2あたり。
「4連」「10連」「わたっちゃえ」は新潟市中央区・幸西4あたり。