出張物件11


「ご近所路上観察ファイル」ということで,基本的に近所:新潟県内の物件を取り上げているわけですけれども,時折何かの用事で県外へ行ったりすることもあるわけでした。
 そういった機会に見つけた物件を小ネタ的に紹介しようというのが,出張物件であります。

 名古屋城あたりから名古屋駅あたりまでを色んなルートで歩いているだけなのだけど,やはり知らない土地を歩くのはオモシロいものであるなぁ。



 ふたつの駐車場を隔てるブロック塀に貼られたカンバンであります。
「このすきまへ空缶等を捨てないで下さい。ばんたね」
とのことなんでした。

 塀のこちら側もあちら側も駐車場であって,「すきま」というのがよくわからないんでした。「この」と言われてもなぁ,と。
 かつてはあちら側に建物があって,すきまがあったのかもしれませんけれども。

 でもあるいは,よそ者にはわからない「コノスキマ」という方言的な言葉があったりするんでありましょうか。文字の色途中で変えてるから,それはないか。

 そんなことを考えると,最後の「ばんたね」というのはお店の名前とか屋号のような気がしますけれども,実は何かの方言だったりするんではないかとも思ってしまうところであります。
 地方のカンバンには,方言が添えられていたりすることがよくあるし。昔話の最後につけられる「どっとはらい」とか「どんどはれ」とかいうのと同じ…ことないか。




 名古屋には菓子・玩具の問屋が集まった一角があって,歩いているとなかなかオモシロいんでした。
 お菓子の問屋さんの前にはたいがいこのような
「嫁入・子供会・旅行 各種袋詰承ります」
というカンバンが掲げられているんでありますね。

 名古屋の結婚式は豪華だというのはよく聞く話でありますけれども,お菓子の袋詰とか大量に使うのだなぁ,嫁入りと子供会が同列なのかぁ,地域が変わると風習もちがうのだよなぁ,などと思ったんでした。

 …これ,単に感想言ってるだけで物件になってないな。




 同じ問屋街のあるお店に貼られていたハリガミであります。
「袋詰各種 賜わります」
とのことなんでした。

 うーん。おそらくは袋詰各種の注文を「承ります」という意味合いで書かれているのだろうなぁ,と思うわけでありますけれども,ホントに「ウケタマワる」んではなくて「タマワる」お店なんでありましょうか。

 お店に入ると,店の人が笑顔で両手をこちらに出してニッコリ笑っており,こちらが差し出す袋詰を受け取るんでありましょうか。それはお店と言えるのかどうか。

 まぁ「賜る」の字もちょっと「賜」と違っているようなので,「タマワる」わけではなくてもっと別のことをしてくれるのかもしれませんけれども。
 実は「賜」じゃなくて「腸」であるとか。腸を割られてしまうんだとすると,ちょっと,どころかすごくイヤ。

 もしホントに間違えているんだとしたら「アッタマワリ」などと言われないようにしなければならないでありますね。




 こちらは「食事・飲み処 おかみ」さんであります。
 いやおかしなところはまったく無いんでありますけれども。飲み屋さんとしてはしごく真っ当なネーミングでありますね。

 ただ,この「おかみ」というのが「女将」とか女性をあらわす「おかみさん」であれば楽しく飲めそうでありますけれども,政府などをあらわす「お上」だったらイヤだなぁ,と思ってしまったわけでした。

 のれんをくぐると,一段高いところに七三に眼鏡で腕カバーをした男が並んでいて,ギロリと睨まれて無言で注文書を書くカウンターを指さされ,注文書を提出しようとするとたらい回しにされ,ようやく注文できて食事をすませるととんでもない「税金」が加算されていて…。
 というようなところを想像してしまったんでした。

※もちろん,こちらはそんなお店ではありません。たぶん。



 今回の物件はすべて名古屋市。