一徹物件



 近所に小学校中学校のある道路に立てられている通行止カンバンであります。
「この道路は通行止の為午前七時三十分から午前八時三十分までの間許可車以外通行止です 違反車輌については取締りを行ないます」
とのことなんでした。

 7時半から8時半まで許可の無い車は通るなということであって,それは十分伝わっているわけでありますけれども。
 ただ,その通行止の理由がよくわからないんでありますね。
「通行止の為,通行止です」
というのはまぁ,ある意味最強の理由ではあるんですけれども。

 飛雄馬のオヤジが
「とにかく!通行止と言ったら通行止なんじゃ!!」
と言ってちゃぶ台をひっくり返しているような,理屈など通じない相手としゃべっているような感じなんでした。

 しかし,前提として「通行止の為」というのがある場合,7時半から8時半以外の時間というのも通行止なんでありましょうか。
 であれば,7時半から8時半という時間をことさら区切る必要も無いような気がするところではあります。
 やはり,後付けの理由として「通行止の為」というのがあるんでありますね。

 理由,思いつかなかったんでありましょうか。普通に考えれば「通学時間のため」となると思いますけれども,それでは言い尽くせない理由があったのかどうか。

 本当は近所の子どもたちを愛してやまないのに,それを素直に出せないオヤジ。
「子どもなんぞというのは甘やかしてはいかんのじゃ! この通行止めか? これは決して子どもの通学に配慮しているわけではないわ! 理由? 理由なんぞ…。と,とにかく!とにかく通行止だから通行止なんじゃ!!」
と,ツンデレぶりを発揮しているんでありましょうか。


 こちらは,地元のタウン誌なんかには時折名前が出たり出なかったりするようなラーメン屋さんというか食堂みたいなところであります。
 だいぶ前に何回か食べたことがある気がしますけれども,以前はもっとキタナい,いや歴史を感じさせるお店だったのが最近キレイになったようであります。

 で,ウリが「味とボリュームの店」であるということらしいんでした。
 飲食店において「味とボリューム」というのはやはり重要な要素であります。ありますけれども,もうちょっと何かないかと,思ってしまうんでした。
 三本柱とか三位一体とか「旨い・安い・早い」とか,「身・技・体」みたいに三つの要素があるとゆるぎの無い完全体になるんでありますね。

 ラーメン屋さんにおいて「味」と「ボリューム」というと「身技体」でいうならば,味は「技」,ボリュームは「体」でありましょうか。
 すると…欠けているのは「心」であります。もちろん,ラーメンにかける情熱のようなものが欠けていてはおいしいラーメンもできるわけがないので,この場合の「心」というのはラーメンそのもの以外のこと。

…とすると,接客,サービスあたりでありましょうか。あえてサービスを度外視して,味とボリュームだけに心血を注ぐお店。

 頑固職人のオヤジが無愛想に黙々とラーメン作りをしていて,客が来てもギロリと睨むだけの,あとは知らんふり。
 おそるおそる注文を言うと「あいよ」とだけ小さく返事をするだけ。
 ラーメンを食べてる最中に会話をしたりケータイが鳴ったりしようものなら,なぜか近くに置いてあるちゃぶ台をひっくり返しながら「貴様らに食わせるメシなどないわ!金なんぞいらんから出て行け!!」と,背景を炎にしながら怒り狂ったり。

 まぁ,ちゃぶ台返しがパフォーマンスとして話題になったり「オヤジ怒らせるとメシがタダになるらしいぜ」というウワサで繁盛(?)したりするかもしれませんが。

※これはもちろん妄想であり,そんな接客はしていなかったような気がします。15年くらい行ってないんで今はわかりませんけれども。

「通行止」は新潟市東区・牡丹山5あたり。
「心技体」は新潟市中央区・南笹口1あたり。