段差物件2



 さるお宅,というより事務所みたいな感じの建物でありましょうか。その出入口であります。
 引き戸でありますけれども,地面からけっこう高さがあるので階段状に足場を作ってあるようなんでした。

 実際に出入りするのは,階段を昇りきった右側の戸になるんでありましょうか。
 でも左側から入ることも可能であるようなので,足の長い人なんかは左側をあけてヒョイと入ってきそうであります。

 だいたいなんで入口がこんなに高くなっているのかという気もしますけれども,どんな事情があるんでありましょうか。
 地面自体がちょっと傾斜しているのか,浸水被害の多いところなのか,防犯上の理由なのか,単にこういうデザインが好きなのか。

 あるいは,身長の高い人と低い人が同時にやってくるときに,低い人がコンプレックスを持たないように配慮されているんでありましょうか。
 低い人が高い段に,高い人が低い段に立って戸を開けると,中からは同じくらいの身長に見えるようにした仕組み。

 でも,引き戸では同時に開けることができないことに後から気づいて「あーっ!」と叫んだのかもしれないでありますね。しれなくないか。


 こちらは,年がら年中ソフトクリームのみを売っているという,最近(でもないか)ちょっと話題のお店。
 いやあんまりそういうのに詳しくないのでよく知らないんですが。

 店内で食べることもできるようでありますけれども,中に入らずに買う場合はこの窓口で注文して受け取るんではないかと思われるんでした。

 その窓口がちょっと高いところにあるようで,一歩間違うとトマソンになってしまうような段差が設けられているんでした。
 設けられているというか,もともとこういう形になっている建物を利用したのかもしれませんけれども。

 おそらくそんなことにはならないでしょうけれども,冬場に売れなくて店じまいをしなければならないという場合には,この段差はトマソンになってしまいそうでありますね。
 必要がなくなったとしても,わざわざお金をかけて壊してしまうということもなさそうだし。

 あるいは,こういった段差というのは自らの最期をさとったときには人知れず「段差の墓場」へ戻り,そこで最期を迎えるんでありましょうか。


 こんなような。  いやこれは「段差の墓場」というよりも「墓の墓場」のようでありますけれども。手前の石には「先祖代々墓」とか書いてあるし。
 あるいは,これから墓が生まれる「墓の産婦人科」なのか。

 最期は段差とはあんまり関係ありませんでしたけれども,この写真は2年ほど前に撮っておいたものであります。
 撮ってはいたものの物件となる機会を失していたわけでありますけれども,このまま「物件の墓場」へ行くのももったいないということで,ムリヤリ入れてみたわけでした。

「段兄弟」は新潟市中央区・礎町通1ノ町あたり。
「段窓口」は新潟市中央区・鐙3あたり。
「墓墓場」は新潟市北区・葛塚あたり。