あけて物件



 さて。新年物件はオマケ的なものであるので,これが実質的に平成25年最初の物件であります。
 昨年最後を「シメ」としたので,今年最初は「アケ」としてみたわけでした。

 ということで,上の物件。道路沿いにある,さるお宅の前に立っていたものであります。
「出入口を開けて停止して下さい」
とのことなんでした。

 おそらくはこのお宅の前を通る自動車に対してのメッセージであろうと思われるわけでありますけれども,
「ここに駐車する場合は,車のドアを開けておかなければならないんだろうか?」
と思ってしまったわけでした。

 駐車の際にドアを開けっ放しにしておくのは無用心ではないか? 後続の車にも迷惑になるんではないか?
 いやひょっとするとこれは,丁寧で紳士的なギャングが,いきなり銃を突きつけるという荒っぽいことをするんではなく,まずハリガミで「止まれ。ドアを開けろ」と要求しているんであろうか?

 などとも考えたわけでありますけれども,この場を離れて数分後に
「ああ。あの出入口というのは車のドアではなくて,家(または車庫)の出入口部分のスペースを空けて停車しろということか」
と気がついたんでした。

 しかしまぁ,これは漢字の使い方でありますね。「開けて」だと,ドアなど開閉できるものを想像してしまうわけで,空間をあけるなら「空けて」とか「あけて」と書いたほうがよさそうであります。

 漢字というのは便利であるけれども難しいものでありますね。
 このハリガミを見て突然停車し,ドアを開けてぼっと待ってる人がいたりしないんであろうかと,ちょっと心配になるところであります。


 こちらは,さるお宅の勝手口のようであります。狭い路地裏にあるんでした。
 まいどー。三河屋でーす。とか言って,御用聞きがここから入ってきたりするんでありましょうか。

 その「勝手口」のプレートの下に,何か書いてあるようなんでした。


「インターホンは正面入口 反対側にあります」
とのことであります。

 この勝手口にはインターホンは無いわけで,御用を聞くには正面まで行ってインターホンを使わないといけないんでありますね。
 そして正面でインターホン越しに
「あら。三河屋さん。それじゃ勝手口にまわってもらえる?」
と言われて,また勝手口まで戻らないといけないわけでした。

 小さなお宅だったらいいですけれども,500メートル四方くらいある豪邸だとしたら,往復で2キロくらい走らないといけないかもしれないんでした。そのあげくに「ビール一本だけお願いね」とか言われるのかもしれないんでした。

 いやそんなに大きなお宅でもなかったような気もしますが。三河屋さんも,慣れれば最初から正面にまわるだろうし。いまどき御用聞きもしてないかもしれないし。だいたい,三河屋さんって誰だ。


 こちらは,さる神社の拝殿であります。通常は扉がしまっているようなんでした。
 そして,無理やり穴をあけて「金入口」を作っているようなんでした。

 まぁ,賽銭箱のない神社ではこんな風になっていることも多いんでありますけれども。
 神社としても,ムリにお賽銭はいらないのかもしれないでありますね。あるいは,そんな大きな賽銭箱を用意してもそれに見合うくらいのお金も入らないし,小さな賽銭箱では見栄えも悪いし持ってかれちゃうかもしれないしということで,賽銭箱は設置しないのかもしれない。
 でも参拝する側としては,お賽銭を入れないとご利益がなさそうなので,入れたいわけであります。
 そうすると,こういった感じでお金投入口ができるのかもしれないんでした。いや内情はよく知りませんけれども。

 あるいは,これは「お金の入口」ではなくて「金さんの入口」なんでありましょうか。
 この扉の奥では遠山の金さんが桜吹雪の手入れをしてたり…してないか。


「出入口」は新潟市西蒲区・巻甲あたり。
「勝手口」は新潟市中央区・上大川前通5あたり。
「金入口」は新潟市南区・小蔵子あたり。