文字物件
「西野文字店」さんであります。
お店やカンバン自体におかしなところはないわけでありますけれども,「文字店」というのはどういうことをしているお店なんだろうなぁと,思ってしまったわけでした。
看板とか広告なんかに文字を書くレタリング的なことをしている,というのが考えやすいところでありましょうか。
活版印刷に使う活字を作っているとか。一般の人間が買うものではないとは思いますが。
一般が使うということでは,ハンコなんかも文字を売るということになるかもしれないでありますね。
意外と先進的で,パソコンなんかのフォントを作っているとか。
それとも,呪術的な文字を書いて誰かの恨みを晴らすとか,お守り的な文字を書いて身の安全を守ったりとか,オンミョージみたいなことをしていたりするんでありましょうか。
あるいは,もっと根本的なところで,文字の権利を売っていたりするのかもしれない。
この店の主人が誰かに売った文字は,もう他の人が使うことはできない。「あ」を誰かが買ったら,それ以外の人間は「あ」という文字を書くことができず,書きたいときにはその権利者にお金を払わないといけなかったりするのかもしれないんでした。
しれなくないか。なんでこの店の主人がそんな売買権を持ってるのかわからないし。
そんなギスギスした話ではなくて,文字の生産販売かもしれないでありますね。
たとえば,とても驚いたときにその漢字を表現する文字が見当たらないとき。
「あっ」とか「おっ」とかそんな単純な驚きではないんだと。ああ,もどかしい! というような場合に,それにピッタリな文字を作って売ってくれるお店。
お客はこんな文字を提案されて「そうそう! こんな感じなんだよ。私が体験した驚きは! いやー。これでスッキリした」
と,晴れ晴れとした顔でお金を払っていくのかもしれないんでした。
どう発音するのか,相手にうまく伝わるかどうかよくわかりませんけれども。
だから,我々はよく上のようなカンバンを見て「あー。字まちがってるよ。しょうがないな。おしいけどね」などと思ってしまいがちでありますけれども,これはあえてこう書いているのかもしれないんでした。
「うーん。確かにここに駐車はしてほしくないんだが,私は争いは好まない人間だから,そんなに厳しくするつもりはないのだ。かと言って,ただ禁じるというのも違うのだよなぁ。すごく厳しくはならずに,でもこちらの気持ちもわかってもらえるようなうまい文字はないものかなぁ」
と思ったカンバン主が,文字店さんで作ってもらった文字がこれなのかもしれないんでした。
気持ちが伝わったかどうかというのはよくわかりませんけれども。
オマケ。
こちらは「公益社」さんのカンバンであります。葬儀関係を主におこなう,セレモニーホールみたいなところであります。
いやまぁ別におかしなところは全くないわけでありますけれども,「公」と「益」の文字をかたどったマークが,ちょっと顔に見えてしまったわけでした。
「公」というのはもともとが顔文字みたいな形をしているわけでありますけれども,「八」の曲線の曲り具合が逆になったことによって「情けない」から「リラックスした」みたいに,ちょっと表情も変わっているような感じがするでありますね。
「益」の方は,ちょっとけわしい表情をしたバカボンのパパみたいであります。ハチマキのないのが残念でありますけれども。
下にはマークになる前の文字も書かれていますけれども,こうしてみると「公」だけでなく「益」も元々が顔みたいでありますね。「失敗したー」と言って歯を食いしばってるみたいな。
「社」がちょっとカヤの外。「土」はちょっと無表情なやつみたいな感じありますけれども「ネ」は顔に見えないんでした。
などとというようなことを一旦考えてしまうと,もうこれからずっとそういう風に見てしまうでありますね。ニヤニヤしながらお焼香してしまいそうなんでした。
もひとつオマケ。
これはもう路上のものでもなんでもなくて家にあった調味料でありますけれども,夕飯を食べながらぼんやりとこの容器を見ていて
「塩にょう?」
と思ってしまったわけでした。
一度そう認識してしまうと,そのようにしか見えなくなってしまうものであります。
しかし,塩にょう。しょっぱいもの食べすぎると塩尿になってしまうんでありましょうか。
まぁ,糖にょうよりはマシか。そうでもないか。
でも尿ってもともとしょっぱいようなイメージがありますけれども,なめたことないのになんでそう思うんだろう。
「文字店」は新潟市中央区・米山4あたり。
「ゲン禁」は新潟市中央区・春日町あたり。
「顔文字」は新潟市中央区・本町10あたり。