まむしの物件



 白根方面から新津方面へ車で向かうと目に入ってくるカンバンであります。
「まむしの白雅 東北唯一の窯元 実験研究・天然の小動物取扱い処」
ということなんでした。
 通るたびに気にはなっていたんでありますけれども,ようやくこの辺をちょっと歩くことができたんでした。

 だいたいが,こちらは何をやっているお店なのかよくわからないでありますね。いやお店であるのかどうかもわからないところであります。
「実験研究」と書いてあるし,「窯元」だそうだし。

 考えやすいのは,マムシを使った料理とかマムシ酒とか出すお店でありましょうか。
 そんな中で,実験研究用に欲しいということであればそれ用にマムシをゆずったり,マムシをとる際に副産物として手に入った小動物も売ったりしているとか。

「窯元」というのは…この業界ではマムシの商いやら調理やらをする人をそのように呼んだりするんでありましょうか。呼ばんような気もしますが。

 新潟が東北であるかどうかというのは微妙なセンでありますけれども,まぁ新潟はいろんな地方に分類されるし。電力会社は東北電力だから許容範囲か。
 関東地方とか中部地方とかに入ると,なかなか唯一にはなりにくいのかもしれないし。

 あるいは,こちらでは別にマムシを取り扱っているわけではないかもしれないでありますね。
「まむしの白雅」という通り名の人なのかもしれない。すごくしつこくて,もう食らいついたら離れない。昔は悪人だったんだけれども捕まったときの同心の人柄にほだされて今は密偵をやっている人。いつの時代か。
 それにカンバンを出すようなことではないような気もしますが。

 これを自称してると,ちょっと中二病っぽい感じではあります。
 ヒーローっぽいコスチュームを着て「俺は,人よんでまむしの白雅! 必殺技を受けてみろ! ポイズンファングローリングスラッシュトルネード!!」とか叫びながら,来るべき悪の魔王の来襲にそなえて日々訓練をしつつ,他の4人の戦士を探しているのかもしれない。しれなくないか。

 それでまぁ,矢印の方向へ行って実物を見てこようかと思ってもみたわけでありますけれども,そちらの方には,このような標識が立っていたんでした。


 黄色い標識だけでもキケンそうでありますけれども,さらに大きく「キ」とまで書いてあるからには,どれほどのキケンが待ち受けているのか想像もつかないんでした。

 見方によっては「トラがいるので注意」というようにも見えるし,「巨大なイチモツを持った男が走り回っているので注意」というようにも見えますけれども,どれであってもキケンであります。

 そんなわけで,窯元本体のある方角へは行かなかったんでした。
 でも考えてみるとそのような注意標識ではなかった気もするので,今度機会があればそちらの方へ行ってみたいところであります。

 で,今回は矢印の方向とは逆の方を少し歩いたわけでした。
 少し歩くと,このようなものが。


 何か凶悪そうな怪物が家につながれているんでした。
 いや動いてないし,樹木のような気もしたんですけれども。

 でもいかにも凶悪そうであるし,キケンでないならロープでつないでおく必要もないんではあるまいかと,思ってしまうところであります。今は眠っているだけなのかもしれない。

 これはひょっとすると,あの「まむしの白雅」さんが実験研究の結果として作り上げた小動物なのかもしれないでありますね。

 まむしの白雅さんは,マッドサイエンティストだったのか。
 いろんな小動物や薬品を釜の中に放り込んでぐつぐつ煮たり焼いたりすると,新たな生物を作り上げることができるのかもしれない。
 そういう意味で,窯元を名乗っているのかもしれないんでした。

 私もいつ捕まって釜に放り込まれ,違う生物にされてしまうかわからないので,早々にこの場を離れたわけでした。
 もし目をつけられると,逃げてもどこまでもしつこく追ってくるかもしれないし。

「まむし」は新潟市南区・中山あたり。
「キの字」は新潟市南区・中山あたり。
「新生物」は新潟市南区・朝捲あたり。
※「まむしの白雅」さんはマッドサイエンティストだったり中二病だったりはしないと思われます。本体を見に行ってないんでわかりませんが。