向上心物件



 今回ショート気味に植物ものであります。

 上の物件はブロック塀ぎわに植えられた木でありますけれども,枝の流れがなんだか不自然な感じで,壁を越えようと触手をのばしているかのように見えたんでした。
 塀から向うの様子をうかがっているようにも見えるみたいであります。


 近寄ってみた写真。
 ちょっとわかりづらいですけれども,塀に押し付けられた枝は塀に遮られて変形し,半円状になっているんでした。

 そこまでして向う側へ伸びたいのか。もっと他に伸びる方向はありそうでありますけれども。
 壁を越えることに生きがいを感じる植物なんでありましょうか。あと何十年かすると,根っこも抜けて壁の向う側へ行ってしまいそうであります。

 こういう人(人じゃない)は,壁を越えたらまた次の壁を探し続けるのかもしれませんが。


 こちらは,建物の脇から細い枝が電線の方へのびて,パッと見て電線か枝か分からなくなりそうなんでした。
 枝が,電線に「仲間?仲間?」と近寄っているかのようであります。

 好奇心旺盛な枝であるなぁ,と思って本体のほうを見てみると,こうなっているんでした。


 下のほうは,バッサリと切られてしまっているようなんでした。でも上のほうは,色んなところに巻きついてのびているんでした。

 これは,木があんまりのびてしまったので切って処理しようとしたのだけれども,上のほうは処理しきれなくてあきらめてしまったんでありましょうか。

 あるいは,最初の壁越え樹木と同じように,こちらは上へ上へと目指していく人(人じゃない)なんでありましょうか。
 もう根っこ部分は自分で抜いてしまって自由になっているのかもしれないでありますね。そのうち,空を飛ぶかもしれない。空飛ぶ樹木というのがあっても,おかしくないし。おかしいか。


 こちらは,パワータイプのようであります。
 しっかりと太い枝(なのか?)がグルグルと巻いているんでした。

 よく見ると茶色い雨どいが巻きつかれていて,もうグシャグシャにひしゃげてしまっているんでした。
 これは,枝が弱々しいときに巻きついて拠り所とさせてもらっていた雨どいを,恩を忘れてつぶしてしまったんでありましょうか。
「オレは師匠のシカバネを踏み越えて上を目指す!」
という熱血・非情の人(人じゃない)なんでありましょうか。

 あるいはもっと上を目指していて,二重螺旋に巻くことによって新たな生命体になろうと試みているのかもしれないでありますね。しれなくないか。

「壁を越える」は新潟市中央区・白山浦1あたり。
「上を目指す」は新潟市中央区・本町通9あたり。
「新たな生命」は新潟市中央区・下大川前通7あたり。