結界物件2



 車道と歩道の境界にある縁石は,通常は高さ15〜20センチくらいのカステラ状のコンクリートが車道と歩道を隔てているわけであります。

 ただそれがずっと続いていると家の車庫から車が出られなくなってしまうので,ところどころ切れ目があるわけでありますね。その部分というのはちょっと斜めになっているわけでした。だから,通常は横から見ると長い台形になっているんでした。

 でもその切れ目どうしが近くにあると,台形の平行部分が短くなって,ついには三角形になってしまうわけでありますね。

 そういった形の三角形は割とよく見られて,トマソン的には「富士山」と呼んだりする場合もあるわけでありますけれども,こちらの道路ではその富士山がずらりと並んでいるんでした。
 手前から奥までずっと三角形であります。台形部分なし。

 見たところ,車庫のない部分も縁石がないようであります。いやブロックの色が変わっているので,かつてはここにも出入口があったのかもしれませんが。だとしても,こうすべてが三角形になってしまうであろうかと,思うわけでした。三角形の間隔もそれぞれ違うし。

 あるいは,これは最初からこういう風にデザインされているんでありましょうか。縁石代を浮かすためか。富士山というか,山脈好きの町内なのか。
 それとも,見る人が見るとこれはモールス信号のように何かの意味を読み取れる配置になっていたり…しないか。

 まぁ,車道と歩道の境界としては,これだけで十分なような気はするでありますね。
 車はあえて歩道側には入ってこないだろうし,歩行者も歩道を歩きたくなる形であります。
 物理的に車が入ってくるのを止めるのはちょっと難しいところでありますけれども,意識に作用する結界のような感じになっている気がするわけでした。

 …でも実はこれが世界を一周していて,地球は大きな歯車になっていたり…はしないか。


 こちらは,工事現場を外部と隔てる壁であります。これはもう完全に物理的に内外が隔てられているわけであります。

 写真の現場はもう工事が終わったんでありましょうか。いろいろと貼られていた掲示物が取り去られて,その接着面だけがあととして残っているんでした。

 こうしてみると,いろいろな貼り方をしているんでありますね。外周は同じでありますけれども,内側は縦だったり横だったり×だったり。

 でも,実はこの貼り方には秘伝があって,工事現場にモノノケが入ってきて悪さをしないような呪術的な結界になっていたりするんでありましょうか。工事現場なんかは色んなモノが入ってきたりしそうだし。

 あるいは逆に,工事中に出現した色々なモノを現場に封じ込めているとか。この模様の順番を入れ替えたりすると,たくさんのモノノケが街に飛び出していってしまうのかもしれないんでした。しれなくないか。


 こちらは,さる駐車場内にあった…なんだかよくわかりませんけれども,ブロックに囲まれた小さな建物(なのか?)であります。

 おそらくは,なにがしかの機械が入っているんではないかと思われますけれども,「無断駐車禁止」のカンバンと空気穴のような飾りブロック,そして中から突き出た円筒を合わせると,中には人が入っていて「無断駐車したらば,撃つ!」という感じで常時臨戦体制になっている…ように見えてしまうんでした。

 これはもう,撃たれてはたまらないので無断駐車する人もいなそうであります。得体の知れないものというのはその存在が結界になるわけであります。
 しかし中に入っている人はタイヘンそうであります。夏場は特に。でもまぁ,その存在自体が人をよせつけないわけでありますね。頭の下がる思いであります。

 いや人は入ってないとは思いますが。たぶん。でもしかし。
 飾りブロックのところから覗けば中の様子はわかると思いますけれども,覗いてギョロリと血走った目が睨み返してきたら怖いので覗けないんでした。その前に撃たれるかもしれないし。

「富士山群」は新潟市江南区・東本町2あたり。
「術式現場」は新潟市中央区・川岸町1あたり。
「トーチカ」は新潟市中央区・米山あたり。