合流物件



 今回,全体に地味な物件でお送りします。いや通常もハデな物件はあんまりありませんが。
 それはともかく。

 さるお宅の雨樋であります。
 最近は雨樋といってもあんまり目立たないようになっていたり,緻密な計算の上でピシッピシッと無駄なく接続されていたりするわけでありますけれども,こちらはなんとも大雑把な感じであるんでした。
「だいたいこの辺りに口をだしておけば,ふたつまとめてこいつで拾えるかなー」
というような感じであります。

 でも,このじょうご部分も家の造作も年季の入ったいい感じなので,こういうのが雨樋のもともとの形なのかもしれないでありますね。


 こちらも雨樋でありますけれども,最後に雨水が放出される末端部分であります。
 普通はそのままたれながしだったり側溝に放出されたりするわけでありますけれども,こちらではなぜかボウルのようなもので受け止めているんでした。

 これは何か意味があるんでありましょうか。側溝はふさがれているみたいですけれども,穴はあいているようなので水を流すくらいできそうではあります。それでも絶対に側溝には流してはならない事情か何かがあるんでありましょうか。

 まぁその事情はともかく,この日は晴れていましたけれども雨が降ったらタイヘンそうでありますね。
 もう家族総出でボウルリレーをするんでありましょうか。雨でびしょ濡れになりながら。
 豪雨にさらされながら,雨樋からゴウゴウと流れてくる雨水を受け止めては家の中へ運んでいく家族の姿は,かなりシュールであります。

 映画の一本も作れそうでありますね。
 なぜそんなことをしているのかはわからないけれども,一族の掟ということでひたすら守りつづける祖父。
 そんな祖父が大好きな少年。父親は,少年が小さい頃に家を出て行ってしまったらしい。
「こんな意味のないことを繰り返すのが嫌だったんじゃろうな」と,寂しそうに笑う祖父。
 ある日,村を襲う未曾有の豪雨。祖父と少年は必死に作業を続けるが,祖父が心臓の発作を起こしてしまう。
 こぼれそうになる雨水。その雨水をすくい取ったのは,懐かしい大きな手の平。「父さん…」
 父親は,掟の秘密を探るために世界中を旅していたのだ。そして,ようやくつかんだ手がかり。
「この掟の謎を解くには,選ばれた人間が必要なのだ。だがそれは私ではなかった…」
 少年のシャツを破り,胸を見る父親。
「やはり,このアザ…。お前こそが,選ばれた人間なのだっ」「えぇっ」ドーン。
 少年の果てしない冒険と戦いが,今始まる。
〜Legend of AMADOI エピソード1:希望のボウル〜 終
「エピソード2:脅威の来襲」は撮影快調,近日公開。

 エピソードいくつまで続くのやら。


 オマケ。
 こちらは空き地というか貸地でありますけれども,水道の蛇口がふたつ並んでいるのがなんだかオモシロかったんでした。
 写真ではちょっと見えにくいですけれども,それぞれの蛇口の下はこんもりと山になっていて,なんだか墓標のようにも見えるんでした。
 カンバンの上に翻る旗は,ふたりをとむらっているかのようであります。そうでもないか。

 しかし,なぜ蛇口。
 映画の一本も作れそうでありますね。
 大戦末期,徴兵された配管工の兄弟,丸夫と塁次が得意の跳躍を駆使して活躍したが…。
 これはやめておいた方がよさそうであります。


 もひとつオマケ。
 こちらはまぁ,特におかしなところもない,ふたまたにわかれた蛇口であります。
 おそらくは散水用に設置されたもので,この水は通常飲まないんだと思いますけれども。

 でもやはりちょっと想像してしまうんでありますね。
 炎天下,のどの渇いた二人の人が同時に水を飲もうとして頭をゴツン。
「あ。お先にどうぞ」「いえいえお先に」「「いや,あ,そうですか」」ゴツン。
「すみませんすみません」「どうぞどうぞ」「いやいや」「どうぞどうぞ」「「じゃ,お言葉に甘えて」」ゴツン。
 というのを延々と繰り返している姿を。

「レトロ」は新潟市中央区・沼垂東6あたり。
「レジェンド」は新潟市南区・能登1あたり。
「セメタリー」は新潟市北区・葛塚あたり。
「ゴツン」は新潟市中央区・西船見町あたり。