文脈物件
町内のゴミの集積所に掲げられたカンバンであります。
「ゴミ捨てるな 違反者は罰する」
とのことなんでした。
ゴミの集積所において「ゴミ捨てるな」というのはどうなのかと思ってしまうところでありますけれども,その場所に「ゴミを捨てる」というのと「ゴミを置く」というのでは意味が異なると,いうことでありましょうか。
確かに,動作としてはほぼ同じであっても,「捨てる」と「置く」とでは心もちが違うわけでありますね。
あるいは「時間外に出すな」とか「分別の異なるものは捨てるな」ということでありましょうか。正しい時間に正しい分別をして出されたものは「収集対象物」だけれどもそれ以外は「ゴミ」であるというような意味合いで。「違反者は罰する」という文言があるので,そういうことかもしれないでありますね。
「罰する」というのがちょっとコワい感じのするところであります。ここは実は仏教関係の教会の脇にある集積所なので,何かタイヘンな仏罰があてられてしまうかもしれないんでした。
脇には下のようなカンバンもあるので,このカンバンは収集時間が終わると掲げられるものなのかもしれないんでした。
このカンバンは,下のカンバンをふまえた上で読むべきものなのかもしれないでありますね。
「ゴミ捨てるな 本日終了」
ということで,「もう今日の収集時間は終わったので捨てるな」ということらしいんでした。
しかしここで最初のカンバンと対比してみると,最初のものは
「ゴミ捨てるな」「違反者は罰する」
であって,右側の「ゴミ捨てるな」を受けて,左側で「違反者は罰する」ということになっているわけであります。
それと同じように
「ゴミ捨てるな」「本日終了」
を読むならば,「ゴミを捨てるな」という規制が「本日は終了しました」ということになるので,「今現在はゴミを捨ててもいい時間帯である」ということになるんではあるまいかと思ってしまうわけでした。
などと屁理屈をこねていると,とんでもない仏罰をあてられてしまいそうであります。
こちらは,マンション下の駐車スペースに掲げられたカンバンであります。自転車に斜線の引かれた標識とともに
「駐輪禁止 無断駐輪の場合 罰金1万円にて処分致します」
と書かれているんでした。
「罰金1万円にて処分」というのがちょっとわかったようなわからないようなところであります。
1万円とられてしまうというところはわかるわけでありますけれども,自転車はどうなってしまうのか。1万円とられた上で,処分されてしまうんでありましょうか。
「にて」というからには,自転車の処分料金として1万円の費用がかかるということなんでありましょうか。業者によってそれはもうバラバラに分解されて,捨てられてしまうんでありましょうか。
同じ場所には,下のようなカンバンも掲げられているんでした。
こちらは,人間に斜線のひかれた標識であって
「通り抜け禁止」
と書かれているんでした。
こちらには,罰金うんぬんは書かれていないわけであります。
書かれていないわけでありますけれども,同じ場所に同じ形のカンバンがあるわけなので,その位置的文脈を考えれば罰則も同じなのかもしれないんでした。
つまりは,ここを通り抜けるところを見つかってしまうと即座に拘束されて,財布から1万円を抜き取られた上で業者に引き渡されてそれはもうバラバラに…。
いるのか? バラバラ業者。
「右から左へ」は新潟市中央区・礎町通上1ノ町あたり。
「書かずとも」は新潟市中央区・礎町通1ノ町あたり。