閉門物件



 さるお宅の門扉に貼られたプレートであります。
「閉門 脇へ回って下さい。」とのことなんでした。

 おそらくは「現在この門は閉じており使用していないので,脇にある別の入り口から入ってください」ということなんであろうと思われるでありますね。

 しかし,「閉門」という言葉からは「家から出ることを禁じられる刑罰」を科されているようなイメージを受けてしまうんでした。

 子どもの頃,テレビ時代劇が花盛りだった世代だからでありましょうか。「閉門もうしつける!」なんていうセリフはよく聞いていたような気がするわけでした。

 ひょっとするとホントにこのお宅はなにか重大な事件をおこして「閉門」の処分を受けていたりするのかもしれませんが。しれなくないか。

「脇へ回って下さい」ということなんで,すぐ脇から入ることができるんでありましょうか。それなら門を開いておけばよさそうなもんでありますけれども。

 あるいはこれは「脇へ」ではなくて「脇で」だったりするんでありましょうか。この門の脇で両手を上に上げてバレリーナのようにくるくる回っていると,門が開いたりするのかもしれないでありますね。しれなくないか。


 こちらは,階段を樹木が覆っていて上ることができなくなってしまっているようなんでした。
 樹木によって階段がトマソン化しているかのようでありますけれども,さにあらず。

 この階段はもともとが上った先に入り口がなく,最初からトマソンなんでした。
 いやもちろん最初からトマソンだったわけではなくて,入り口の無くなった段階で階段がトマソンになったわけでありますけれども。

 だから,階段が使われなくなった結果として樹木がはびこったわけで,樹木がトマソンの成因ではないんでした。
 しかしこの樹木によって,トマソンが見えそうで見えない,いや見ようとすれば見えるという「トマチラ」の状態ができているわけで,ある種トマソンの額縁的な役割をはたしているような気がするわけでした。


 こちらはさるお宅でありますけれども,物件はその脇に立っている黒いドアなんでした。

 おそらく,以前は隣にも家が建っていて,その家と家のスキマから不審者が侵入しないようにドアを作ったんではないかと思われるんでした。

 しかしお隣の家がなくなって空き地になってしまったんでありますね。ドアはあっても用を成さず,侵入は簡単そうなんでした。
 窓の防護枠は隣が空き地になってから作ったんでありましょうか。よほど侵入されたくないんでありますね。当たり前か。

 警備会社の赤いステッカーがちょっとワビサビを感じさせるところであります。

「閉門」は新潟市中央区・山田町2あたり。
「トマチラ」は新潟市中央区・下大川前通6ノ町あたり。
「スキマドア」は新潟市中央区・関屋松波町3あたり。