ゴミオ物件



 住宅と住宅の狭いスキマに
「ゴミオス」
というカンバンがひっそりと立っていたんでした。
「ゴミオス」というのは一体なんであろうかと,思ったわけでした。

 脳内ではやはり「ゴミ」という単語が真っ先に分離されるわけでありますけれども,「ゴミ」の「オス」とは何であろうか。と思ってしまうところであります。

 普段あんまり意識しないけれどもゴミにもオスとかメスがいて,ゴミのカップルの間に子ゴミが生まれたりするんでありましょうか。確かに,黙ってると部屋のゴミはどんどん増えていくような気がするところであります。
 掃除してないだけか。

 それとも,カンバン主はゴミに対して親近感を持っている人で,「ゴミ君,オッス!」とあいさつをしているんでありましょうか。
 友達いないんでありましょうか。いや,友達の名前が五味君なのか?

 あるいは,このお宅のインターホンのスイッチはゴミに偽装されていて,ゴミを押すことによって中の人と会話ができるようになっているんでありましょうか。
 生ゴミを押すくらいなら訪問しない方がいいかもしれませんが。

 はたまた「♪エネルギーを素敵に♪エネオス」と歌っている会社がありますけれども,こちらのお宅では「♪ゴミを素敵に♪ゴミオス」ということで,ゴミを素敵にしているんでありましょうか。
 どんな素敵なゴミになるのかわかりませんけれども。

 ひょっとすると,ここのゴミはもう発酵してお酢のようなニオイがしているので気をつけましょうということなんでありましょうか。
 カンバン立ててるヒマがあったら捨てるべきだと思いますが。

 というようなことでは多分なくて,おそらくは隠れている下の部分には「テルナ」とか書いてあるような気がするでありますね。
「ゴミオステルナ」つまりは「ごみを捨てるな」ということで,カンバン主は「お」と「を」の使い分けをしない人なんではないかと思われるんでした。
 住宅のスキマにゴミを捨てる悪い人がいたりするんでありましょうか。

 いやホントにそうなのかどうかはカンバンの下の方をのぞいてみないといけないわけでありますけれども。
 でもヘタにのぞいたりすると,そこにはゴミオという新種の生物が生息していて噛まれてしまうかもしれないので,のぞけないんでした。つまりは「ゴミオ」の「巣」かもしれないので。
 しれなくないか。


 こちらは「ゴミを捨て」とだけ書かれたカンバンでありますけれども,単独だとちょっと物件になりにくいものではあります。

 俳句・川柳の上五みたいで,大喜利の題材にすれば落語家さんがシャレの利いた回答をしてくれそうでありますね。
 私も何かひりだしてみたいけれども,ちょっとムリか。

 これも本来は「ゴミを捨て」の下に「ないでください」あたりが書かれていたと思われるわけでありますけれども,その部分は壊れてなくなっているんでした。

 でもひょっとするとこのカンバン作者も「を」と「お」の区別をしない人なのかもしれないでありますね。
 そうすると,このカンバンは実は「ゴミお捨て」と書かれているのかもしれないんでした。

 なにか,蝶々のマスクをしてピッチリした革の服を着てムチを持ったお姉さまに
「ほら!散らかってるじゃないか! ちゃんとゴミお捨て! この白豚野郎が! ホラホラ,豚が手なんか使うかい!? 口でだよ!!」
 と罵っていただいてムチをピシリ!と鳴らしていただいているようでありますね。
 ありますね,じゃないか。


 オマケ。
 こちらは「ゴミはダメよ!!」ということで,文字列としてどこも欠落はしていないようであります。
 だからそのまま「ここに置いていいのは資源物のみであって,ゴミを置いてはいけません」ととらえればいいわけでありますけれども,「ゴミはだめよ!!」なんて言い方をされると,なにか別のことを考えたくなってしまうんでした。

 実はここは五味葉妥芽代(ごみは・だめよ)さんのお宅であるとか。
 だいぶ苦しいですが。

 実はこれはアナグラムであって「嫁はゴミだ!」と面と向かって言えない姑さんの心の叫びであるとか。
 嫁さんには一生伝わらないと思いますが。

 実はここは某政党某派閥の集会所であって「五味派はダメだ!」と主張しているのであるとか。
 今どこかの政党に五味派ってあるのかどうか知りませんが。

「ゴミオス」は新潟市東区・中山4あたり。
「ゴミを捨て」は新潟市中央区・下所島2あたり。
「ゴミはダメよ」は新潟市北区・葛塚あたり。