よいこ物件



 神社の境内に掲げられたカンバンであります。
「団らんがつくる素直な良い子ども」
「気をつけて!!おかしな人がねらってる」
ということで,個々の言っていることは特にヘンではないんでした。

 しかし,ふたつ並べてしまうと,どうなのかなという気がしてしまうんでありますね。
 素直な子どもというのは,周囲を常に警戒する疑心暗鬼の心を持っているもんであろうかと,思ってしまうわけでした。
 まぁそれは,おかしな人がうろついているという世の中が悪いわけでありますけれども。

 関係ないですけれども,「団らん」というと宝塚のスターにいそうな名前でありますね。いないか。
 「団らん」さんが宝塚を引退して結婚して子どもをつくると,素晴らしく素直な子どもができるのかもしれないんでした。宝塚に限らず,どこかに「団らん」さんっていないでありましょうか。

「おかしな人がねらってる」というのもちょっとあいまいな表現であります。
 まぁ,「変質者が」とか書くと「素直な子ども」たちが「ヘンシツシャってな〜に?」とキラキラした瞳で質問してきて,返答に困ったりするのかもしれませんが。

 ここで想定されている「おかしな人」というのがどういう人なのかはわからないですけれども。
 路上にあるよくわからない物体にカメラを向けてニヤニヤしている人だったりするのかもしれないし。

 このカンバンの脇には別の小さなカンバンも立っているんでした。


「境内の無断○○ご遠慮ください」
ということでありますけれども,いったい何をご遠慮申し上げたらいいのかよくわからないんでした。
 素直な子どもたちは,このカンバンを見ていつも何を遠慮しているんでありましょうか。

 ひょっとして,これはボッタクリでありましょうか。
 境内に入ってたとえば写真撮影をすると,奥のほうから怖いお兄さんが出てきて
「おうおう。ここで何しとるんじゃ。カンバンが見えんのか」
とすごまれたりするのかもしれない。
 カンバンの文字が消えていて見えないと言うと
「お。そうか。消えとったか。すまんの。でも禁止は禁止じゃけんのぅ」
と言ってマジックで「撮影」と書き込んで,金品を要求したりするのかもしれないんでした。

 などという妄想をしていると,奥のほうから怖いお兄さんが出てきて
「おうおう。何ここで妄想しとるんじゃ。ここは妄想禁止じゃ」
と言ってマジックで「妄想」と書き入れたり…しないとは思いますが。


 こちらも,重要な部分が消えている褪色カンバンであります。
「よい子は○○で○ばない」
ということなんでした。

 文字はうっすら見えていて,どうやら「よい子は道路で遊ばない」のようであります。でもホントにそうなのか。いろいろ考えてしまうところであります。

「よい子は階段で転ばない」
 確かに,転ぶと自分だけでなく下の人までキケンであります。

「よい子は学校で学ばない」
 んー。これはちょっと反社会的なような気もするでありますね。でもそういう人生も有りなのかもしれませんが。

「よい子はバス停で並ばない」
 これは並ばないといけないでありますね。最近の若い人は並ばずにヘンなところにいてバスが来るとスルスルっと入ってきたりもしますけれども,いけません。

「よい子はおもいで偲ばない」
 まぁ,子どものうちは想い出にふけるよりも未来をみつめて生きるのがいいような気もするでありますね。小学生くらいだと,偲ぶような想い出もまだないかもしれませんが。

「よい子は大予言で滅ばない」
 1999年だったり2012年だったりしますけれども,普段から正しく生きている子供たちはハルマゲドンが来ても生き残ることができるという,ヘンな宗教の教えみたいな感じであります。

「よい子は世界の中心で愛を叫ばない」
 ちょっと長すぎでありますね。狭いスペースには書ききれないかもしれない。

 というようなことを考えていると,奥のほうから怖いお兄さんが出てきて
「おうおう。何ここで妄想しとるんじゃ」
と言われてボコボコに…。

 結局,これでありましょうかね。
「よい子は妄想で喜ばない」


「団らんがつくる」は新潟市西蒲区・巻甲あたり。
「○○で○ばない」は新潟市中央区・上大川前通8あたり。