やっぱり物件



 駐車場の注意書きであります。
「駐車場の中では,自転車あそび,ボールなげ等はやめましょう。事故,ケガ等については一切の責任はとりません」
とのことで,まぁ注意書きとしては普通の文面であります。

 普通でありますけれども,最後にひと言「ホラー」と書かれているのがナゾなんでした。
 この駐車場はマンション的な建物に隣接しておりますけれども,そのマンションの名前には「ホラー」というのは含まれていないようであります。
 近くに「ホラー」という名前のお店があるのかとも思いましたけれども,ちょっと見回した感じではそういうお店もなさそうなんでした。

 注意書きの一部であるとすると,「駐車場内であそぶと,ホラー映画のような恐ろしい目にあうぞ」ということだったりするんでありましょうか。
 まぁ確かに,車にひかれてしまったりしたらカラダがグチャグチャになったりゾーモツがハレツして飛び散ったりしてしまうかもしれないわけで,ある意味ホラー以上の惨劇になるのかもしれませんが。

 あるいはもっと和風のホラーでありましょうか。
 このカンバンは,かつてここで遊んでいて車にひかれてしまった女の子のつぶやきなのかもしれない。
 見えないけれども彼女はそこにいて,子どもがここで遊んでいると
「自転車あそびやボールなげはやめた方がいいわよ。やめないと大変なことになるわよ。くすくす」
と,聞こえない声でつぶやいているのかもしれない。

 そしてついに子どもがひかれてしまうと,
「ほらー。やっぱり。だから言ったのに。やっと私の声が聞こえるようになった? これでアナタも私の仲間よ。これから仲良くしましょうね。ケタケタケタ」
と笑って仲間を増やしていくのかもしれないんでした。

 蛇足。
 このカンバンは「利用者の皆様へ」ということでありますけれども,通常駐車場の利用者はここで自転車あそびとかボールなげはしないでありますね。むしろ「部外者の皆様へ」としないといけないような気もするところであります。
 てなこと言ってると,見えない女の子に向こうの世界へ引きずり込まれるかもしれないので言いませんが。


 書いてて気持ちが暗くなってきたので,もうちょっと軽いノリで。
 こちらはおそらく「よねいち」さんで,「一」は「いち」であって長音ではないんだろうとは思いますけれども,その字体とあいまってどうしても長音として読んでしまいたくなってしまうんでした。

 就職活動前の女子大生が集まって話しているみたいな感じであります。
「就職するならさー。やっぱ,株式会社よねー」
「だよねー。有限会社はねー。ちょっとイマイチだよねー」
「有限会社って,もう限界が見えてるみたいじゃんねー」
「なにそれ。うけるー。無限会社ってあるのかなー」
「個人商店なんて,ゼッタイやだよねー」
「ムリムリムリ。土下座されても入ってやらないよねー」
「ところでさー。株式会社と有限会社って何が違うんだろーね」
「なんかよくわかんないよねー」
「カレシが言ってたんだけどー。ゴーメー会社ってのは社員がみんな無責任なんだってー」
「スーダラ?」
「古くね?」
「結局,株式会社と有限会社って?」
「字が違うんじゃん?」
「そっかー」
「アンテーしてるとか言う,コームインにでもなろっかなー」
「コームインって,株式会社?有限会社?」
「コームインは,たしか,株式会社よねー」

 というようなノーテンキな会話は今の就職氷河期にはされていないだろうとは思いますけれども,氷河期にあってもノーテンキでいられる方が幸せなのかもしれないなぁ,と思ったりもしますよねー。

「ホラー」は新潟市中央区・鐙1あたり。
「よねー」は新潟市西区・的場流通1あたり。