チカノ物件



 街を歩いていたら,突然「チカノに注意!」とビックリマーク付きで告げられたわけでした。
 うーん。チカノ君って知り合いは,いたようないないような気がするわけでありますけれども,その程度ではもはや知り合いとは呼べない間柄であるような気もするんでした。
 高校のときのクラスメートだったか? 学校に勤めていたころの隣のクラスの学生だったか? まぁどうでもいいか。

 しかしそのチカノ君がいったいどうしたというのか。なぜ注意しないといけないのか。
 というようなことを考えるまでもなく,これはおそらく「チカンに注意!」と言っているカンバンなんであろうと思われるんでした。

 それはまぁ,注意しないといけないことでありますね。許してはいけない行為であります。ほぼ全ての男性にとってそういう衝動は心の中に存在しうるものでありますけれども,それを抑える理性を持っていることが,男である前に人間として大事であります。
 だからこれは,女性に対して警戒を呼びかけると同時に,男性に対しても「チカンにならないよう注意せよ」と示してもいるわけでした。

 あるいはこれはホントに「チカノ」に注意せよということなんでありましょうか。以前付き合っていたカノジョを元カノというように,チカンみたいにヤらしいカノジョを「チカノ」と呼んだり…してないか。
 まぁ,カノジョがチカンみたいにヤらしくても別に問題ないというか大歓迎のような気もするし。そうでもないか。
 あるいは「血まみれのカノジョ」とか。それはヤだな。


 こちらは某お菓子屋さんの店先にある大きなカンバンであって,内容的におかしなところは特にないんでした。
「あったらもんだ」というのは「もったいない」的なことを意味する方言らしいですけれども,私は使ったことないし周囲でもあんまり聞くことのない言葉であります。

 だから,この「あったらもんだ」という文字列だけを見ると
「これは,満員電車内で隣にいた露出過多の若い女性の胸部を思わずわしづかみにして指を開閉させてしまった普段はおとなしくてマジメなエリート男性が,事情聴取に対して『そこにあったからもんでしまった』というような意味のことを,興奮してしまってまわらない口で供述した言葉であろうか」
と思ってしまったりするんでした。思わないか。

 そして取調べを終えた捜査員は
「つい魔が差したんだろうけれども,アイツもこれで今までマジメにやってきた人生を棒にふってしまったみたいなもんだなぁ。あったらもんだなぁ…」
とつぶやくかもしれないんでした。つぶやかないか。


 オマケ。
 建物の外観だけを見ると,パッと見はちょっといい感じの建物でありますけれども,上のほうの壁面には「パブ ミニスカ」のカンバンが掲げられているんでした。
 そんな上のほうに「ミニスカ」があったら,思わず上を見上げてのぞきこんでしまいそうでありますね。しまわないか。

 この道路は,ちょっと前までは奥の方から手前に向かう一方通行の道路だったんでした。だから車でしか移動しない人は,この道路を通っていても上に「ミニスカ」があることに気づかなかったかもしれないんでした。
 でも今は手前から奥の方へ通行できるようになったので,初めて「ミニスカ」を見て思わず上を見上げて事故を起こしたりしないかどうか心配なところであります。起こさないか。

「チカノに」は新潟市江南区・泉町3あたり。
「あったら」は新潟市東区・石山3あたり。
「ミニスカ」は新潟市中央区・西堀前通9あたり。