数列物件



 さるマンションの壁に掲示されているカンバンであります。
「入居者以外の車無断駐車 固くおことわりします」
とのことで,下には数字が羅列されているんでした。

 あまり考えるまでもなく,これは入居している部屋の番号と駐車場の番号の対応表だと思われるでありますね。実際,マンション下の駐車スペースを見ると,枠の中に1から始まる番号が書かれているようなんでした。

 その用途はわかるわけでありますけれども,この書き方というか番号の対応は,部外者からすると非常にわかりにくいような気がするわけでした。
 1〜21の数字はわかりますけれども,部屋番号の順番が入り乱れているんでありますね。

 303号室の次が103号室になって,その次が105号室になったかと思うと次は203号室であるというように,予測がつかなくて混乱してしまうんでした。
 部屋番号のみを書き出してみると,こうであります。
101 102 201 202 301 302 303 103 105 203 205 305 306 307 106 107 206 207 308 310 311

「この数列で次に現れるであろう数字を記せ」という問題を出したら,どのくらいの人が正解できるでありましょうか。

 おそらくこの部屋番号は百位が階数,十位一位がその階の中でのシーケンス番号だと思われるでありますね。
 けれどもマンションということで4と9は嫌って,シーケンス番号には現れないようであります。
 さらにマンションの構造によるものなのか,1階と2階が二部屋ずつで3階は三部屋という,合計七部屋の組み合わせでひとくくりになるようなんでした。

 このような規則で考えると,次に現れる数字は108で,その次は110,続けて208,210,312,313,315だと思われるんでした。場合によっては313も除外されるかもしれない。
 問題に「なお,この数字はマンションの部屋番号であり,オーナーはゲンをかつぐ人である」という条件を加わえておかないとなかなか正解に到達できないかもしれないでありますね。
 数式的にしか数列をとらえない受験生なんかよりも,生活観のある人のほうが正解に近づきやすいかもしれないんでした。

 でもホントの正解は「このマンションにはもう部屋(あるいは駐車スペース)がないので,次の数字は存在しない」かもしれませんが。
 全国の適性試験作成業者のみなさん,この問題買いませんか。それはともかく。

 その規則性がわかったとしても,ややこしいのは変わりないでありますね。まぁ,住人は自分の駐車場番号だけ憶えておけばいい話なので,困ったりはしないのかもしれませんが。

 あるいは逆に住人以外は番号をなかなか憶えきれないわけで,駐車をしている人間に部屋番号を聞いてしどろもどろになれば不法駐車と判断できるという,実は画期的な「不法駐車判定システム」だったりするんでありましょうか。

 そういう画期的システムでないならば,部屋番号と駐車スペースはもう1対1で決まってしまっているわけだから,最初から駐車スペースの番号を301とかの部屋番号と同じにしてしまえばいいようなものであります。
 最初に1〜21の番号を駐車スペースにふってしまったあとに部屋番号に対応させることにしたので,変えるのが面倒だったんでありましょうか。

 この1〜21の番号には4も9も13も含まれているところを見ると,部屋番号と駐車スペース番号を設定したのは別人物かもしれないでありますね。「ゲンかつぎ派」と「ゲンかつがない派」。
 そういった相反する派閥に翻弄されて,住人のみなさんはどう思っておられるんでありましょうか。どうも思ってないか。そもそもそんな派閥も無いんでしょうけれども。

「マンション数列」は新潟市中央区・鐙西2あたり。