シメ物件
日本語というのは助詞のつかい方によって意味が全く違うものになってしまったりするわけでありますけれども,小難しいことさえ言わなければ,単語の羅列だけでもその場の状況によってコミュニケーションはできたりするものであります。
そんなわけで上の物件。ゴミの収集ボックスに掲げられた板製のカンバンであって
「生ゴミはこのボックス以外はいれてくだ下さい」
とのことなんでした。
「生ゴミ」「このボックス以外」「いれて」の部分を見れば,「生ゴミはこのボックス以外に入れるように」つまりは「このボックスには生ゴミを入れるな」という意味であると,一般的な日本人であればとらえるような気がするでありますね。
「生ゴミ」と「それ以外」というだけの分別の仕方も,最近にしては珍しいような気もしますけれども。可燃物の中での分類なのかもしれませんが。
でも日本語勉強中の外人さんなんかがこれを読んだ場合には混乱しそうであります。日本人でも,カンバンをじっくり読んで意味を理解してから出ないと行動できないタイプの人は頭を抱えてしまうかもしれないでありますね。
あるいは,これは「生ゴミはこのボックス。以外はいれてくだ下さい」と区切るんでありましょうか。
だとすると,生ゴミはこのボックスに入れないといけないでありますね。そしてそれ以外のものも入れてもいいわけで,このボックスは万能のゴミボックスなのかもしれないんでした。そんなことないか。
あと気になるのは「くだ下さい」でありましょうか。
このゴミ収集所にゴミをいれるためには,管理人に利用料として「くだ」をあげないといけないのかもしれない。ここの管理人さん,スパゲッティとかチクワが大好物なのかもしれないでありますね。そんなこともないか。
こちらは,公園のトイレのドアであります。トイレの入口は別にあったような気がするので,用具入れとかそういうものだったかもしれないですけれども,とにかく
「ドアーおしめて下さい」
とのことなんでした。
これもおそらくは「ドアーを閉めて下さい」なんだと思われるでありますね。
私が見たときにはドアーは閉まった状態だったので,残念ながらその指示に従うことはできなかったんでした。
でもひょっとしたら「おしめる」という特殊な動作があって,このドアに対して「おしめる」と,何かスゴイことが起きたりしたのかもしれないんでした。ああ。おしめておけばよかった。
まぁ,「おしめる」というのが何をすればいいのかわからないので,やりたくてもできなかったとは思いますけれども。
「おしめる」とは何でありましょうか。
「おしめる」とは,ドアーを押して閉めることでありましょうか。でもこのドアは外からだと引いて閉めるタイプのようであります。
「おしめる」とは,勝ってカブトの緒を締めるというヤツでありましょうか。別に何にも勝っていない,負けっぱなしの人生でありますけれども。
「おしめる」とは,シッポを緊張させることでありましょうか。この近所にサイヤ人がいたりするんでありましょうか。
「おしめる」とは,おしめをすることでありましょうか。公園のトイレの前でおしめをした大人がたたずんでいたら,通報されそうであります。しかもその中で済ませて異臭がただよっていたりしたら…。
一応,今年最後の物件ということでシメ物件としたわけでありますけれども,どうしても最後はシモ系のネタになってしまうのだなぁ。
なにはともあれ,みなさまよいお年をおしめてくだ下さい。
「このボックス」は加茂市・高須町1あたり。
「おしめて」は新潟市中央区・上所2あたり。