露出物件



 片側が田んぼになっている道を歩いていたら,突然に露出を求められてしまったわけでした。

 確かに目の前は広い田んぼで,作業している人もいないけれども,こんな開けっぴろげなところで露出しなければならないなんて,いやでも開放的な気分になってクセになるほど気持ちのいいものなのかもしれないし,たまには日光を当てて殺菌した方がいいのかもしれないし,でももし突然田んぼの中からそれまでかがんで作業していた人が出てきたり通行人が来たりしてそれが若い娘さんだったら悲鳴をあげられたり一瞥して鼻で笑われたり「まぁカワイイ」とかつぶやかれて落ち込んでしまうかもしれないし…。

 などということをグルグルと考えたりしたわけでありますけれども,おそらくはそういう恥ずかしい露出をしなさいということではないように思われるんでした。

 石油の資源を開発するというような会社の名前が書かれているので,そういった類のものがこの辺で露出しているという標識なのかもしれないですけれども,シロートには何のことやらまったくわからないでありますね。
 だから突然「露出」とだけ書かれていたら,ヘンな妄想をしてしまうのも無理からぬことではないかと思ってしまうんでした。そうでもないか。

 あるいはこの「露出」は手書きであるので,そういう会社とは関係なく「こういう夏の陽射しの中で写真をとる場合には露出に気をつけなさい」というアドバイスをしてくれているのかもしれないでありますね。
 すると実はここは世界的に有名な写真撮影場所だったりするんでありましょうか。見たところ田んぼしかないのだけれども。


 こちらは,今でも営業中(だよな?)の銭湯の裏側であります。ここの煙突,以前はもっと長かったような気がするのだけれども,気のせいか。

 その短い煙突が屋根から「にゅ」と露出しているところが,なんだかちょっと若い娘さんが悲鳴をあげてしまったり一瞥して鼻で笑ったり「まぁカワイイ」とつぶやいてしまいそうな風情を感じてしまったり…普通はしないかもしれませんけれども,なにかちょっとオモシロイ感じの風景になっているんでした。

 まぁ,銭湯というのは同性限定ながらも不特定多数の前で合法的に全露出のできる数少ない空間であるので,「にゅ」くらいの露出はたいしたことないのかもしれませんが。銭湯で脱衣して興奮する露出狂もいないでしょうけれども。


 こちらは,露出とは逆に隠された自動販売機であります。企業団地のようなところの一角に設置されているんでした。

 企業団地内という立地上,平日にしか使用できないようになっているのかもしれないでありますね。私が街を歩くのは基本的に休日なので,このときは閉まっていたのかもしれないんでした。

 しかし鍵がかかっているという感じでもなかったので,実は開けようと思えばいつでも開けられるのかもしれないんでした。用事もなかったので,このときは開けようともしませんでしたけれども。ヘタに開けようとして警報なんか鳴っても困るし。

 でも,開けられるとしても油断してはいけないでありますね。上のジュースはカムフラージュであって,この閉ざされている扉の部分を不用意に開けると,口に出すのもはばかられるような何かモノスゴイものが売られているのかもしれないんでした。

 この自販機はもっとハイテクで,若い娘さんが前を通るのを検知すると,おさえていたトレンチコートの前をバッと開くがごとくに扉を開いて「おぢょ〜おさん。ほらほら。スゴイでしょ」と機械音声で言いながら,中に隠されているアイドル生写真を販売したりするのかもしれないでありますね。しれなくないか。

「露出標識」は新潟市東区・松崎あたり。
「にゅ煙突」は新潟市中央区・寿町1あたり。
「扉自販機」は新潟市東区・河渡庚あたり。