けものみち物件



 同じ街を目的地も定めずに何度かふらふらと歩いていると,そう意識しているわけでもないのに前と同じ道を歩いていたりするんでした。
 路上観察者としては同じ道よりも違う道を歩いていきたいところでありますけれども,なぜかその道をいつも選んでしまうということがあったりするわけであります。

 道路というか町並みにも,動線というか龍脈というか,そういうものがあるのかもしれないんでした。
 もちろん計算されているものもあるでしょうけれども,作為的でなく自然とそうなってしまう,という道も確かにあると思われるでありますね。
 昔の道というのは,誰かが作ったというものではなくて,動物の通りやすいところに自然と出来ていったものなのだろうし。

 ということで,上の写真。ちょっと見にくくて申し訳ない限りでありますけれども,背の低い草の生えた空き地の真ん中に,道が一本できているんでした。


 ちょっと引いてみたところであります。

 この空き地というのが住宅街の角地にあって,どうしてもショートカットしたくなるんでありますね。
 私はヨソ者なので遠慮して普通に道路を歩きましたけれども,近隣の住民にとっては,なくてはならない重要道路になっているんではないかと思われるんでした。

 まぁ近隣の住民とて,この道を通れなければ通れないで別に困るほどの距離でもないとは思いますけれども。
 しかし,ここを自然に通れるようになるかどうかが「この町の本当の住人」になれたかどうかの試金石になっているのかもしれないんでした。なってないか。

 このけものみち,真っ直ぐではなくて微妙にS字のようになっているわけですけれども,最初に歩いた人にはやはりちょっと躊躇があったりしたんでありましょうか。それとも,犬の散歩なんかで犬の気まぐれからこのような形になったりしたのか。
 多くの人が通るようになったであろう現在でもこのS字が保たれているというのは,微妙な高低差があったり,何か土地の力というのがあったりするんでありましょうか。

 あるいは,実は地元の人も誰も通ってないのかもしれないでありますね。
 誰も通ってないのにこんな風になっているとしたら,これは本当はミステリーサークルなのかもしれない。
 ただ,形が非常に地味である上に道路とつながってしまっているので,誰もミステリーサークルだと思ってくれないだけなのかもしれないんでした。
 作った宇宙人の人(なのか?)は,話題にならなくてガッカリしているかもしれないでありますね。


 オマケ。
 こちらはけものみちということではありませんけれども,狭い道の片側にあるフェンスがぐにゃりと曲がってしまっているんでした。

 この道でどうしてこんな風になるのかと思ったわけでありますけれども,フェンスの逆側を見るとそこは駐車場で,トラックがたくさん停まっているんでした。


 これはまぁ,なんというか,納得であります。トラックの出入りの失敗によって,フェンスが曲ってしまったということでありますね。

 しかし,納得していいのかどうか。この狭い道でトラックを出し入れするからには,こうなりやすいのは明白であるわけで,今後もこういうことは何度もありそうなんでした。

 いつか,けものみちのようにフェンスが自然消滅して道路になっていったりするんでありましょうか。

「Sけものみち」は新潟市西区・新中浜2あたり。
「トラックみち」は新潟市西区・中権寺あたり。