予備知識物件
カンバンというのは，なにがしかの情報を見るものに伝えるのが役目なわけでした。
しかし，その情報をすべてカンバンに記入するとなると情報が多くなりすぎて，逆に見てもらえなくなる可能性が高いんでありますね。コストもかかるかもしれないし。
それで，カンバンには必要最小限の情報を載せておいて，あとは見るものが持つ情報・予備知識で補完してもらうことになるわけでした。
そんなわけで，上の物件。
おそらくは「美濃ガレージ」であろうと思われるわけですけれども，駐車を希望する人間にとってはガレージの名前などどうでもいいのであって，停めるスペースがあるかどうかというのが最重要な情報なわけでした。
それで，ガレージの名称部分を削ってまでも大きく「空庫あり」と貼り付けたようなんでした。
結果，予備知識なしに見たときに，岐阜県南部の特産品が具のメインとなっているカレーライスである「美濃ガレー」を宣伝しているカンバンであるかのように受け取られそうになってしまっているんでした。受け取られないか。
いやホントに美濃ガレーというのがあったりしておいしいのかもしれませんけれども。
それはそれとしても，この最重要事項である「空庫あり」は，その他の情報も隠しているようなんでした。
その部分には「子どもさんは、あ ガレージの中で 下さい」と書かれているわけで，子どもさんとしては「ガレージの中で何かがもらえるのであろうか？」と思いワクワクしてガレージの中に入ってしまうかもしれないような気もしないでもなかったりするわけでした。
まぁ，子どもの安全よりは空庫の有り無しの方が重要な事項であるので，それはしょうがないことなのかもしれませんけれども。そうか？
と思ってよく見てみると，その「空庫あり」の隣には「満車」とも書かれているんでした。
「空庫あり」であると同時に「満車」である。…というのは一休さんでもつれてこないと解決しないような難問でありますね。
一休さんだと「庫」と「車」の違いあたりから攻めていってあらぬ言葉を口走り，将軍さまや桔梗屋さんをあわてさせそうであります。
まぁ，一休さんの解決方法というのは，実質的には何の解決にもならないことが多いですけれども。
しかしガレージの名前や子どもの安全を削ってまでも主張したい「空庫あり」が実は間違いであったとすると，このカンバンのガレージ看板としての存在意義というものが危ぶまれてくるような気がするでありますね。
やはりここは，北海道のスープカレーに続くご当地カレー，美濃ガレーのカンバンということにしてしまうのが一番いい方法であるような気がするわけでした。よくないか。
こちらはフトン屋さんなんかで割とよく見かけられるような気がする「獅子印の綿」のカンバンなんでした。そうでもないか？
関係ないけど「ししじるし」って，「し」ばっかりであるなぁ。それはともかく。
その「獅子印の綿」という文字の脇には「木目込み人形」と書かれているんでした。これにちょっと「？」と思ったんでありますね。
木目込み人形というもの自体，私は知らないわけですけれども，それと獅子印の綿には何か関係があるのかと。思ったわけでした。まぁ，人形ということなんで材料として綿を使ったりするのかもしれないなと思ったりはしましたけれども。
それにしても，世の中にどれだけの木目込み人形の愛好者がいて，どれほどの人がこのカンバンを見て「お。木目込み人形をやってるのか（この表現で合ってるのか？）」と思うのかわからないですけれども，その知識を持った，その道の人にだけわかるカンバンというのはちょっとカッコイイでありますね。
どこかに「トマソン写真あります」というハリガミが軒下でヒラヒラしているような，路上観察者だけを引き込むお宅もあったりするんでありましょうか。ないか。
こちらは「パーマはれみ美容室」ということで，美容室のカンバンのようであります。
おかしなところは無いカンバンでありますけれども，ちょっと気になるのが「パーマ・はれみ美容室」なのか「パーマは，れみ美容室」なのかというところなんでした。
字の感じからすると「はれみ美容室」さんのような気がするわけですけれども，「はれみ」よりは「れみ」の方がよりありそうな名前であるために，ちょっと迷ってしまうんでした。
まぁ，新規の客としてこのお店に行くのでなければどちらでもいい話ではありますが。おそらくは地元のよく知ってる人たちが利用しているお店なんだろうし。
むしろ，そうやって新規の客が入りにくい状況を作り出すことによって地域住民だけの，本当の名前を知っている人だけの美容室にしようとしているのかもしれないでありますね。しれなくないか。
「美濃ガレー」は新潟市中央区・東堀通１あたり。
「ししじるし」は新潟市中央区・湊町通３ノ町あたり。
「パーマはれみ」は新潟市中央区・湊町通３ノ町あたり。