PET物件



 今や,便利な生活には無くてはならない存在になっているペットボトルでありますけれども,その便利さに対するほんのちょっとの代償として,リサイクルが義務付けられていたりするわけでした。
 でもすべての人がそれを実践するようになるには遠い道のりのようであって,ゴミ集積場では戦いが繰り広げられるわけなんでした。

 ということで,最初の物件。
「注意 金曜日はペットポトルは出せません」
とのことであります。

 まぁ,重箱の隅をツンツンするようなことでありますけれども,「ペットポトル」というのがなんだかカワイイ感じがしたわけなんでした。そう思わない人は,一度音読してみましょう。

 これから言い争いをしようというときに開口一番「ペットポトルを」とか言われたら,笑ってしまって戦意喪失しそうでありますね。ひょっとしたらそれが狙いなんでありましょうか。

 そして最後には「!!」と思われるものが書かれているわけですけれども,ちょっと形がヘンであります。むしろ「ii」のようであって,これは「金曜日にペットポトルは出せません アイアイ」と言っているんでありましょうか。
 これも,これからケンカをしようとする相手が語尾に「アイアイ」とつけて話すとしたら,腰が砕けてしまいそうであります。

 戦いが始まる前に笑いによって機先を制するというその戦法からすると,このカンバン作者はなかなかの戦い上手なのかもしれないんでした。


 こちらはペットではありませんけれども,上の物件の隣に貼られていた,おそらく同一作者によるハリガミであります。
「毎回違反する人へ (白)スパーの袋で出すな 指定袋で出す事 火木土日は黄色」
とのことなんでした。

 やはり気になるのは「スパーの袋」でありましょうか。
 ボクシングにおける実戦的な練習をスパーリング,略してスパーと言ったりしますけれども,それを意味しているんでありましょうか。私はボクシングをやったことがないのでわからないですけれども,スパーリングには特殊な袋を使ったりするんでありましょうか。どんな袋なのか,ちょっと見てみたい感じであります。

 ということではもちろんなくて,おそらくはスーパーのレジ袋で出すなということだと思われるんでした。
 ひょっとしたら「スパー」の方が正しい発音だったりするのかもしれないですけれども,一般的には「スーパー」でありますね。その辺をついて「えっ。これはスーパーの袋であってスパーの袋じゃないよ?」などと言って捨てにくる悪い連中がいないように願いたいものであります。

 あと「火木土日」というのはおそらく「火曜日木曜日土曜日」のことのような気がするわけですけれども,「火木土日」だと日曜日にもゴミを出していいように受け取れるでありますね。その辺も心配なところではあります。
 まぁ,トラブルになってもポトル戦術,アイアイ戦術で対抗するのかもしれませんが。


 こちらは別の場所でありますけれども,
「ペットボトル」「古紙類」「今日は焼やさないゴミです」
とのことなんでした。

 やはり気になるのは「焼やさない」でありますね。「ややさない」とはなんであるのか。
 まぁ,「焼」「燃」「熱」あたりは気を抜くと間違いやすいところではあります。「焼く」のと「燃やす」のと「熱する」のは微妙に異なるような気がするわけですけれども似たようなことでもあるわけで,思わず書いてしまったりすることもありそうなんでした。

 しかし律儀な人は
「ああ。今日は焼やさないゴミしか出せないんだ。でも焼やさないゴミって…? 燃やさないゴミならたくさんあるのに,それはいつ出せばいいんだろう」
と悩んでしまい,家は燃やさないゴミでいっぱいになってしまっているのかもしれないんでした。しれなくないか。


 こちらは,通学路なんかによくある横断旗入れであります。ちょっと前には傘の入っている物件もあったりしましたけれども,今回はペットボトルが入っているんでした。

 不心得物がいるものでありますね。
 純真な子どもが道路を渡って横断旗を入れようと思ったら入れ物がふさがっていて入れられなくて,そのまま横断旗を家まで持って帰ってしまうかもしれない。そしてその結果として「日本の横断旗入れの90%には横断旗が入っていない(妄想)」ということになっているのかもしれないんでした。

 いや,実はこの地域では横断旗としてペットボトルを使うというのが当たり前なのかもしれませんけれども。ペットボトルを持って道路を横断した場合,旗より目立つのかどうかわかりませんが。
 色つきの水,さらには蛍光塗料入りの水でも入れておくといいかもしれないでありますね。小学生が持って歩ける重さかどうかわかりませんけれども。

 実際にペットボトルを横断旗として使用しているとして,横断旗入れには一本しか入らないというのも問題でありますね。
 これを持って道路を横断した場合,向う側にはすでに一本入っているわけで,今持ってきたものを入れる場所がないんでした。そうするとその一本をまた道路横断して返さなければならず,子どもにとってはパズルをやっているような複雑さになるわけでした。

 ひょっとすると,そういう頭の回転のいい子どもを作るために,この地区ではあえてペットボトルを横断旗にしているのかもしれないでありますね。しれなくないか。

「ペッポトル」「スパー」は新潟市東区・逢谷内2あたり。
「焼やさない」は新潟市中央区・東湊町通1ノ町あたり。
「横断ペット」は新潟市中央区・上大川前通12あたり。