禁止物件2



 世の中には場所によってしてはいけないことというのがたくさんあるわけですけれども,それを訴えかけるために色々な工夫がされているわけでした。
 文字で書くよりも絵や造形で見せた方がおそらくは効率がいいと思われるわけですけれども,それがうまくいっていないようなものも多く見られたりするんでした。それがセンスというものなんでありましょうか。

 そんなわけで上の物件であります。
「事故多発 横断禁止」ということで,目をひくし意味合いとしてはよくわかるカンバンであって,決して失敗作ではないようなんでした。

 ただ,文字がなかった場合あるいは漢字を読めない人が見た場合に,この絵というかピクトグラムによって意図が伝わるかどうかというと,ちょっとどうかなと思ったりするわけでした。

 もともとが横断禁止というのは絵にしにくいと思われるでありますね。正式な(というのか?)交通標識でも,絵で見ただけでわかるかというとビミョーな感じがするわけですけれども,それを使わずにオリジナルで,となるとやはり難しいような気がするんでした。

 もしこの「横断禁止」の文字がなかったら,どう解釈するでありましょうか。「歩行禁止」あたりか。「下半身のみ進入禁止」というのはちょっと難しそうであります。
 あるいは「下半身露出禁止」とか,クサナギくん的な禁止事項でありましょうか。だとするともう少し「×」を上にした方がよさそうでありますけれども。
「目には目を」的な文化の国なら「入ってきたら足をちょん切るぞ」みたいなとらえ方もされそうでありますね。
 いやホントにここを横断するとちょん切られてしまうのかもしれませんが。しれなくないか。


 こちらは「御用のない方の立入りはお断りいたします」ということで,これも明快であります。明快でありますけれども,それは文字によるものが大きいような気がするんでした。「手」の絵は必要であろうか,使い方は正しいんであろうかと,思ってしまうわけでした。

 基本的に「丸に斜線」というのは「禁止」を表すと思われるわけですけれども,するとこれは「手のひら禁止」なんではあるまいか,などと考えてしまうわけでありますね。
 むかし街なかを歩いていると「あなたの幸せを祈らせてください」なんていう「手かざし」の人がいたりしましたけれども,そういうのを禁止しているんでありましょうか。

 あるいは,今の中学校は占いブームで手相を見るのが流行っているのだけれども,それを校則で禁止していたりするんでありましょうか。

 あるいは,生徒同士で軽く手を上げて「よっ!」というあいさつをするのを禁止していたりするんでありましょうか。それはちょっと学校としてはさみしいところであります。

 あるいは,この学校ではジャンケンをするときにパーを出すのを禁止していたりするんでありましょうか。さらにひょっとすると「パーの人」が入ってくるのを禁止していたりするんでありましょうか。してないか。


 こちらは月極駐車場わきのフェンスに立っている鳥居…のようなものなんでした。
 中には「ここは有料駐車場です」という表示されているので,おそらくは「関係者以外駐車禁止」と言っているのだと思われるんでした。

 しかし,駐車禁止を伝えるために鳥居を置くというのは,ちょっと珍しいような気がするでありますね。鳥居を置く場合はたいてい小便禁止だったりするわけですけれども。
 そういうイメージになってしまっている鳥居も迷惑な話かもしれませんが。

 設置者としては,不法駐車には少しでも罪悪感を感じてもらいたいんでありましょうか。でも鳥居に小便をかけるというのと鳥居のわきに駐車をするというのでは,罪悪感も大きく違うような気がするでありますね。
 まぁそういったことの前に,造形的にもうちょっとなんとかならんかという気もするところではありますけれども。

 あるいは,この鳥居は駐車禁止とは無関係で,あくまでもフェンス越しの草むらに小便をするなということだったりするんでありましょうか。
 それなら,鳥居よりも「抜けなくなるぞ」というカンバンを設置した方がよさそうでありますね。そんなに太くはないか。何を言っているのか。


 オマケ。こちらも駐車場の入口であります。左手奥の方に駐車スペースが広がっているんでした。

 ここでは特に何か禁止されているというわけではないんでありますけれども,地面の矢印が気になるんでありますね。
 この矢印に従って車を進めると目の前には壁があるわけで,これは何かのワナなんではあるまいかと思ってしまうんでした。不法駐車しようとした車を壁に衝突させるためのワナ。

 矢印正面の壁の様子が左側と違うところを見ると,以前は矢印の先に進めたりしたのかもしれないでありますね。逆にあまりに車が激突するので壁を補強したのか。

 あるいは,サンダーバード的な秘密基地ばりに,車が近づくと壁が開いたりするんでありましょうか。そしてヘタに秘密基地へ侵入したら消されてしまうんでありましょうか。矢印書いておいて秘密もないような気はしますけれども。

 どうもうかつには踏み込めないような感じであります。  してみると,そんな風にあれこれと色々と考えてしまう人間にとっては,このナゾな矢印は「進入禁止」と書いてあるに等しい効果を持っているのかもしれないでありますね。持ってないか。

「足禁止」は新潟市中央区・川岸町3あたり。
「手禁止」は新潟市中央区・万代5あたり。
「禁止鳥居」は新潟市中央区・笹口3あたり。
「秘密基地」は新潟市中央区・関屋本村町2あたり。