軽物件



 サラリーマンは気楽な稼業ときたもんでありますけれども,そうなかなかスチャラカしていることもできなかったりするわけでした。
 はずれることのできない歯車はその重圧でヒビが入るし,交換可能な歯車は外されてそのまま放り出されてしまったりするんでした。
 スチャラカしてても外されない,外されても自分で回りつづけられる性能と覚悟のある歯車であれば,確かに気楽な稼業なんでしょうけれども。

 ということで,上の物件。「P 職員(軽) 空車」とのことなんでした。
 これは某大病院駐車場の駐車状況表示板でありますけれども,現在は空きがあるようであります。

 この「職員(軽)」というのはもちろん「職員専用であり,なおかつ軽自動車専用」ということのような気がするわけですけれども,はたして本当にそうなのか。

 これは実は体重別駐車場なのかもしれないでありますね。体重の軽い職員だけが停められる駐車場。体重の重い職員がここに車を停めてしまうと,敷地がズブズブと沈下していってしまうんでありましょうか。

 あるいはこの職場では重役は特別扱いで「職員(重)」の駐車場に停められるのかもしれないでありますね。それ以外は「職員(軽)」に停めないといけないのかもしれない。
 みたところ近くに「職員(重)」の駐車場はなかったですけれども,もっと建物の近くに屋根つきでテレビや風呂も完備されていて洗車設備も整った重役専用の駐車場があるのかもしれないでありますね。
 重役は自分で洗車したり駐車場でくつろいだりしないかもしれませんが。

 はたまたこの「職員(軽)」の駐車場には,軽〜いノリのスチャラカ職員だけが停められるんでありましょうか。
 この職場にどれくらいのスチャラカ職員がいるのかわかりませんけれども,駐車場はけっこう広くとってあるので,相当数のスチャラカ職員が在籍していそうであります。

 彼ら彼女らが毎朝駐車場で
「よっ。こんちいいお天気でっ」
「労働者のみなさん,おっはよ〜さん」
「仕事しないけど給料くれ〜」
「ほんだららったほーいほい」
とか,てんで口々に言いながら集まってくるのを想像すると,かなりやかましそうであります。
 病院という性質上,そういう理由でこの駐車場は隔離されているんでありましょうか。


 オマケ。
 同じ駐車場のフェンスであります。そこにはこのように
「ちゅうしゃじょうにはいらないで!!」
というカンバンがあるんでした。

 子ども向けに全部ひらがなで書かれているんでしょうけれども,場所が病院であるということで,この「ちゅうしゃじょう」というのが「駐車場」なのか「注射場」なのかわからないんでした。

 まぁ,周囲の状況とかイラストからして,さらに「注射場」という設備はあんまり聞いたことがないということからして,これは「駐車」であることは間違いないような気がしますけれども,それは大人の理屈でありますね。

 子どもとしては何としてでも注射は避けたいので
「いーやーだー! だってここに,ちゅうしゃじょうにはいるなってかいてあるもーん! はいったらだめなんだよー!」
とか言って泣き叫んでお母さんを困らせたりしないかどうか,心配であります。

 しかしこれが本当に「注射場」だとすると,注射する場所を特別に作ってさらにそこに入るのを禁じているわけでありますね。
 ということは,ここではそんなにキケンあるいは人に見せられないような注射をしているんでありましょうか。

 よほど痛い注射で,注射をうつ際の絶叫が周囲にもれないように完全防音室になっているとか。
 宇宙人とか雪男とかネッシーとか,人類以外のモノが注射をうっているとか。

 あるいは,医者が注射器を遠くから弓で射て患者の腕に当てるとか。そしてうまく刺さると看護士さんが「あたーりー」と言ってドンチャン騒ぎするとか。
 最初の駐車場は,そういう軽いノリのお医者さん看護士さんが停めるための駐車場だったりするんでありましょうか。しないか。

※毎度のことながら,以上はすべて私の妄想であり,こちらの病院では弓で注射はしていないと思われます。たぶん。

「軽専用」「ちゅうしゃじょう」はどちらも新潟市西区・寺地あたり。