カミの物件



 街の中でもイナカでも,どこへ行っても見かけられるのが「神の国は近づいた」とか「裁きの日は近い」とかのカンバンであります。
 これはもうどんな山奥へ迷い込んでも絶海の孤島へ流れ着いても人類が火星に初めて着陸したとしても,そこにカンバンはあるんではないかと思われるほどいたる所にあるわけでした。

 上の写真でも「神の国は近づいた」が見えるわけでありますけれども,その下が「仏壇墓石」のカンバンであるところがちょっと悩ましいわけでした。神と仏のバトルが繰り広げられているんでありましょうか。

 そして隣にはお金関係のカンバンもあって,神の国へ入るにはやはりお金やらカードやらが必要なんであろうか,三途の川もなんとやらなんであろうか,と思ったりもするんでした。


 こちらは,最初の写真と同じ壁面の左側に貼られているカンバンであります。ほとんど見えなくなってきておりますけれども「東京毛髪センター」のカンバンであるようなんでした。

 上の方には頭髪の写真があったようでありますけれども,すっかり薄くなってしまっているわけでした。
 毛髪センターのカンバンが薄くなってしまっているというのは会社として致命的であるような気がするわけですけれども,「東京毛髪センター」で検索してもまったくヒットしないところからして,社会的に薄くなるのを通り越してすでに抜け落ちてしまっているんでありましょうか。
(どうやら新潟ではそれなりに聞いたことのある「ヘアドクター」さんの前身なのか?という感じでもありますけれども)

 こういった壁面カンバンというのはやはり建物の所有者と広告会社の間でなんらかの契約をして貼りだされるものだと思いますけれども,契約が切れても外すタイミングというのを逸してしまうといつまでも残ってしまいそうでありますね。

 実際の頭髪に関しても,ある程度薄くなってしまうとバッサリとスキンヘッドになってしまう人もいるわけでありますけれども,その決断をするタイミングというのもやはり難しいんだろうなぁなどと思ってしまったりもするわけでした。


 それはともかく,同じ壁面に,薄くなってしまった「髪の会社」と近づいたままいつまでもやってこない「神の国」のカンバンが貼ってあるというコントラストが,なにやらオモシロかったわけでした。


 オマケ。某交番の裏口であります。
 階段の下が物置スペースになっているわけでありますけれども,階段の裏側にもキッチリとだんだんが出来ているのがちょっと面白かったんでした。
 階段というのはこういう作り方をするものなのかもしれないですけれども,なんだか律儀な感じがしたわけでした。

 だまし絵なんかでよくあるように,逆さの人間がここを歩いてきそうであります。
 ここを逆さに歩いていくと,天国あるいは地獄へ入っていける。なんていうことはないんでありましょうか。まぁ,ここを逆さに歩ける時点ですでに命は無くなっているかもしれませんけれども。


 オマケの2。
 これも「神の国は」と並んで,いたる所に存在するカンバンでありますけれども,こちらはあんどん型のカンバンになっていて,気合が入ってるなぁと思った。というただそれだけなんでした。

「神の国」「髪の会社」は新潟市江南区・亀田下早通2あたり。
「天国への階段」は新潟市中央区・下大川前通2ノ町あたり。
「世界人類の行灯」は新潟市中央区・上大川前通4番町あたり。