ゴミ心物件



 毎度おなじみの,ゴミ置き場関係の物件であります。ゴミ置き場関連を今までにどれくらい物件としているか憶えてもいないですけれども,やはりカンバンの王道であることに間違いはないと思われるんでした。

 そんなわけで,上の物件。
「あなたの捨てた良心が泣いています」
ということで,袋に入った「良心」が泣いている絵が描かれていると思われるわけでした。

 まぁ「良心」そのものが絵ではなく文字になってしまっているのは致し方ないところであります。「良心」を絵に描けるとしたらその人はカンバンなんか描いている場合じゃないような気がするし。

 しかし,このカンバンは「良心」というのが一体何であるのかという大きな問題を提起しているように思えるでありますね。
 わきに「不法投棄は犯罪です」と書かれているところを見ると,このカンバンは不法投棄をしないよう訴えていると思われるわけで,即ち「良心というのは不法に捨てられるゴミのことである」ということなんでありましょうか。

 などというのはアマノジャクな物の見方でありますね。カンバンの意図としては「不法投棄をするというのはあなたの良心を捨てることに等しいので,そんなことはしないようにしましょう」ということだと思われるわけで,捨てる人の良心にうったえているようなんでした。

 しかしこの絵を見る限り,すでに良心は捨てられてしまっているわけでありますね。良心を捨ててしまった人の良心にうったえるということが果たして可能なんでありましょうか。
 良心を捨ててしまっている人は,このカンバンを見ても
「おお。ワシの捨てた良心,泣いとるのか。いい気味じゃのう。ざまあみさらせ。かかかかか」
という程度にしか感じないんではあるまいかなどと思ってしまうわけでした。

 そのようなアマノジャクな見方をさせないためには「あなた。その良心を捨てないで」くらいのことを書いておけばよさそうな気がするでありますね。
 しかし,そうすると今度はそれを表す絵が難しくなりそうであります。やはりこのテーマに踏み込むには「良心を絵に描く」という技術が必要なんでありましょうか。


 こちらは「廃棄物減量推進員」さんの手によるもので
「ゴミに罪はない 指定日に指定袋に入れて出すこと」
ということなんでした。
 たしかにゴミに罪はなく,罪のあるのはルール違反をする人間なんでした。「罪を憎んでゴミを憎まず」というのが廃棄物減量推進員さんのモットーなんでありましょうか。

 廃棄物減量を推進しているからには,ゴミを出さないようにするのが推進員さんの第一の仕事であって,ゴミを憎むようになっても仕方ないような気がするでありますね。しかし長いことゴミと接しているうちに,いつしかゴミをかばうようになり,ついには愛するようになってしまったのかもしれないんでした。

 廃棄物減量推進員さんとゴミのこれからの恋の行方が気になるところであります。
 恋じゃないか。


 オマケ。こちらは
「ゴミ出しルールは守る!! 午前6時〜午前8時まで 違反物を出さないで下さい 大変困ります」
とのことで,特におかしなことが書かれているわけでもないんでした。

 おそらくここでは基本ルールが二つあって
・ゴミを出すのは午前6時から午前8時までの2時間に限る
・違反物を出さない
ということだと思われるんでした。

 ただ,その二つが完全な箇条書きの形になっていないため,読み方によっては
「日によって時間は変わりますけれどもおおよそ午前6時から午前8時くらいになるまでは違反物を出してはいけません。それ以降の時間であれば違反物も出し放題です」
と読めてしまったりするんでした。

 まぁ,そんな読み方はよほどアマノジャクでなければしないわけですけれども。
 そんなことばかり考えていると,指定袋に詰められて捨てられてしまうかもしれないんでした。
 そのとき「ゴミに罪はない」と言ってかばってくれる人は現れるんでありましょうか。

「良心が」は新潟市東区・牡丹山5あたり。
「罪はない」は新発田市・新栄町1あたり。
「困ります」は新潟市中央区・天明町あたり。