屋根物件2

屋根物件2



 ビルの上にまた一見和風の家がある…というのは,ビルの多い大都会ではたまに見かけられるような気がするわけですけれども,新潟くらいの中規模の都市であるとそれほど多くはないんではるまいかと思われるんでした。
 まぁ,私もあんまり上向いて歩かないんで,見過ごしてるだけかもしれませんが。

 しかし,どういう経緯でもってこういった形になるんでありましょうか。最初からこういう設計なのか,増築によってこうなるのか。
 建築ナントカ基準法によってこの位置この規模この形のビルの場合は3階までしか建てられないんだけれども,屋根の形を三角にすればもう1階増やすことができるとかあったりするんでありましょうか。

 あるいは,社長がどーぉしても和風の部屋が欲しくて,わがまま言って作らせたのか。この部屋の中には,社長の趣味の品がぎっしりと詰まっているのかもしれないでありますね。
 朝礼でビジネス誌に書いてあったことをとにかくそのまましゃべった後,この部屋にひとり入って鍵をかけ,部屋いっぱいに並べられたミニカーの中からお気に入りの2台を両手に持って「ぎゅるるーんぎゅるるーん。ブッブー」と言いながら駆け回るのがなによりの楽しみなのかもしれないんでした。
 社長というのもストレスたまるだろうから,そのくらい許してあげないといけないのかもしれませんが。


 こちらは,トラックの荷台というかコンテナ部分を倉庫として使っていると思われる物件であります。
 それ自体は田舎いや郊外の方へ行くと割とよく見かけられる光景でありますけれども,専用に屋根までつけているのはあまりないような気がするんでした。

 やはりこのために屋根を作ったんでありましょうか。それともこれはそんなほのぼのとした情景ではなく,大惨事のあとだったりするんでありましょうか。スピードを出したトラックが民家に正面から突っ込み,屋根を残した住居部分を押しつぶしてしまった直後の現場だったり…しないか。

 そんな風に見てしまうと,このユニークな屋根付き倉庫もなんだか「人体が一番最後に乗る屋根付きの車」のようにも見えてきてしまうんでした。

 そういう縁起でもない終わり方をしてもいけないので,別の見方をするとちょっとかわいらしい小動物(大きいですが)に見えてくる(手前のブロックを手と見る)…というフォローをとりあえずしておきましょう。


 こちらは普通の路地でありますけれども,同じ形の家が奥の方までズラリと並んでいるんでありますね。それで,屋根が波のようにジグザグ模様を形作っているんでした。

 まぁそれだけであって,この家並みもすぐに終わっているのだろうと思われるわけですけれども,路地が微妙に曲がっているので,奥まで見通すことができないんでした。
 そのことによって,合わせ鏡を見ているような,この光景が永久に続いているんではないかという錯覚をちょっと覚えてしまったりするんでした。

 そんなわけで,私はこの路地へ足を踏み込むことを躊躇してしまったわけでした。それでは路上観察者失格なので,今度歩いてみようと思いますが。


 これはまぁ,屋根ということでもないですけれども一応オマケ。風景の中に顔を見出す,フェイスハンティングというやつであります。

 通常,家の外観から見出せる顔というのは比較的端正であったりするわけですけれども,この物件の表情はどうでありましょうか。側面には腕に見立てられるようなヒサシもあって,飛行機のマネをしているようでもありますね。

 よく言えばユーモラス,一歩間違うとムカムカしてきそうな表情であります。
 忙しいときに,この表情で飛行機のマネをしながらやってきて「ぶーん。ぶーん。なぁにやってんのぉ〜? ほえほえ〜」とか言われたら,もう殴ってしまいそうなんでした。いや暴力は反対ですが。

「屋上屋根」は新潟市中央区・三和町あたり。
「荷台屋根」は胎内市・東本町あたり。
「続き屋根」は新潟市西区・寺尾台2あたり。
「ほえほえ〜」は新潟市中央区・長潟あたり。