手間物件



 相変わらず写真がヘタで見えにくくて申し訳ないですけれども,ゴミ置き場近くの電柱に貼られたハリガミであります。

「犬の糞をテシュペーパに包んで捨てる(又はタバコの箱の中にいれてある)飼い主の方 その手間があるなら,持って帰って下さい。」
とのことなんでした。

 むぅ。それは確かにその通りでありますね。まぁティッシュペーパーに包むのはまだしも,タバコの箱の中に入れてあるというのは,かなりな手間のような気がするんでした。

 しかし…タバコの箱? あの小さな箱に犬のフンが詰めて置いてあるというのは,ちょっとシュールであります。昔の検便か? それとも,1カートン入っているような大きな箱のことなんでありましょうか。
 どちらにせよ,その中を見たときのショックは大きそうでありますね。自衛隊が開発中である対侵略者用精神攻撃兵器のテストだったり…いやそういう機密事項が偶然ビンゴだったりすると私の存在が消えてしまうかもしれないのでこれ以上は言いませんが。

 ハリガミ主の方もけっこう手間をかけているようなんでした。このハリガミは牛乳パックを開いて書いているようでありますね。雨にぬれても大丈夫なように,ということでありましょうか。
 パックをきっちりと展開しているところを見ると,普段からリサイクルを心がけている方なんだと思われるわけですけれども,その貴重な資源を一枚ムダにしてテープでぐるぐる巻きにしてしまわなければならないというのは,リサイクラーにとっては大きな損失であろうと思われるんでした。

 そしてハリガミの最後には少し小さめに「これから近くでみはってみます!」と書かれているんでした。
 その手間があったらもうちょっと別のことを…などと思ったりしないでもないでありますけれども,何に手間やら時間やらをかけるかというのはその人しだいでありますね。無駄に時間を使って街をぶらぶら歩き,それについての無駄な文をだらだらと書いていたりする人間もいることだし。


 こちらもご覧の通りゴミ置き場であります。
 カラスよけだと思われますけれども,とにかくこれでもかというくらいにCDがぶら下げてあったりカラス型のプレートが下げてあったり猫型のプレートが置いてあったり立て札が立ててあったりハリガミが貼ってあったりロープが張りめぐらされてたりしているんでした。

 ここまですれば,カラスも寄って来ないんでありましょうか。カラスよりむしろ人間が「うわ。なんかこえー」と思って近寄りたくない場所になっているような気がするわけでありますけれども。
「ここまでやってるんだから」という心情は人間には理解できるけれども,動物にとってそんな感情は理解できないような気がするし。
 でもカラスは頭がいいそうなんで「んむ。ここまでしててかわいそうだから,荒らさないでおいてあげよう」とか思ったりするんでありましょうか。

 しかし,こういう過剰物件の類というのは,もう手段が目的になっているような感じでありますね。カラスを追い払うよりも木を飾ることが楽しくなってしまっているような。
 街の美観を守るためならば街の美観はどうなってもいいという,「健康のためなら命もいらぬ」というおなじみのフレーズに行き着くわけでした。どこに美観を置くかというのは人それぞれではありますけれども。

 あるいはこれはカラスよけなどではなく,CDの木だったりするんでありましょうか。日本で生産されるCDはすべてこのように手間ひまかけて栽培されているのかもしれないでありますね。CDがある程度育った頃にアーチストがやってきて,根元に音楽を吹き込むことによって音楽CDが出来上がったり…しないか。

「犬糞兵器」は新潟市西区・寺地あたり。
「CDの木」は新潟市中央区・紫竹1あたり。