すれ違い物件
遮断機つきの踏切であります。車が通ることもできるわけですけれども,道幅が狭くて踏切上ですれ違うことはできないようなんでした。
そういう場合は譲り合いの精神が必要なわけですけれども,お互いに譲り合っていてもラチがあかないので,こういう踏切ではどちらが優先なのか決めてあることが多いようなんでした。
そんなわけで,上の写真。
「優先通行 向う側の車より 先に渡ってください。」
ということでありますけれども,ちょっと考えてしまう書き方でありますね。渡っちゃっていいのかどうか。
問題は「より」だと思われるんでした。「月よりの使者」などというように,「より」というのは「から」と同じ意味で使われることがあるために,「向う側の車より先に渡る」は「向う側の車から先に渡る=こちらは待たなければならない」ということなんであろうか? と思ってしまうんでありますね。「優先通行」というのも,向う側が優先ということなのか? と思ってしまう。
よくよく考えてみれば,こちら側にそんなことが書いてあっても意味が無いわけで,こちらが優先であろうということはわかるわけであります。しかし,そこまで考えが至るまでの間,やはり悩んでしまいそうであります。
意を決して渡っても「ホントに渡ってよかったのか? 向うの人,にらんでないか?」などとビクビクしながら渡らないといけないような気がするんでした。
その「向う側」から見ると,こう書いてあるんでした。
「対向車優先 向う側の車が通過してから 渡ってください。」
こちらは,悩むことなく向うが優先ということがわかるようであります。
最初の写真の方も,もうちょっと明確にしてやることができなかったんでありましょうか。
「こちら側優先 向う側の車よりも 先に渡ってください。」
とでもしてやれば迷わずにすみそうであります。
しかし,これはあえてわかりにくくすることによって,踏み切りへの進入を慎重にさせるという目的があったりするんでありましょうか。でもこの踏切を使うのはほとんど地域住民っぽくて,もうみんなネタバレしてしまっているような気もしますけれども。
こちらは,道幅が狭くなることを示す標識であって,何らおかしなことは書かれていないわけでした。
しかしそれはわかっていても,やはりちょっと「すれ違い 注意」には反応してしまうんでありました。
なんというか,人生における注意事項を聞かされているような気がするんでありますね。
同じココロザシを持っていても,ほんの小さな言葉のアヤで人はすれ違い,そのまま離れていってしまうのかもしれない。ココロがすれ違ってしまうというのは,とても悲しいことであります。
人間という小さな粒子は,それぞれの軌跡を描きながら自由に飛び回っている。ふたつの粒子がすれ違うときに,互いに手を伸ばせばその後は同じ軌跡を描いていくことができるかもしれない。そのタイミングを逃してはいけないのであります。
人生は無数のすれ違いの連続でありますけれども,それは常に分岐点となる可能性であるから注意しなければならないと,この標識は言っているんでありましょうか。言ってないとは思いますが。
実はそんなカタい話ではなく,もっと軽いお話なのかもしれないでありますね。
掲示板にカキコミをする際には,空気を読んでその板の話題に合った話をしましょう。 その話は別のスレッドでした方がいいんではないですか?
という「スレ違いに注意」ということだったりするのかもしれないんでした。
あるいは,この近所には外人のスポーツインストラクターが住んでいるのかもしれない。そして,いつも
「HAHAHA! 健康ノタメニー! すとれっちヲ ヤリマショー! YEAR!!」
などと言って誰彼かまわずせまってくるので,そのストレッチ野郎に地域住民はみんな迷惑しているのかもしれない。
それで,外人本人にはわからないように注意喚起の標識を立てているのかもしれないんでした。
すなわち「すれ違いに注意」は実は「ストレッチ・ガイに注意」という意味の暗号だったりするのかもしれないんでした。
しれなくないか。
「向うより」は新潟市西区・小針が丘あたり。
「すれ違い」は新潟市西区・小針台あたり。