シャイ物件



 交通標識にも色々と種類があるわけですけれども,矢印タイプの標識というのは歪んで向きが変わったりすると意味合いがまったく違ってしまうので要注意なんでした。

 ということで,上の写真。T字路(ホントはアルファベットの「T」じゃなくて漢字の「丁」であるらしいですが,最後のハネはどうするつもりなのか)の突き当たりに立っている,一方通行を示す矢印であります。

 おそらく本来の向きとは逆になっていると思われるわけですけれども,逆向きうんぬん以前にドライバーからは見えないような気がするんでした。壁のお宅からは庭越しに見えるかもしれないので,実はこのお宅限定の標識なのかもしれないですが。このお宅の人は,家を出て左には行けないのかもしれない。しれなくないか。

 まぁ困った標識なわけですれども,なんだかカワイイような気もするんでした。電柱の陰に隠れて恥ずかしがっているような感じ。シャイな矢印くん。電柱は矢印くんのお母さんなんでありましょうか。

「や,やっぱりいやだよ。恥ずかしいよ」
「また,なに言ってるのこの子は。シャンとしなさい」
「だって,だって,みんなが見るんだもの」
「あんたは見られるために生まれてきたんだから,しょうがないでしょ」
「あっ。また見られた」
「これっ。あんたは後ろ向いたら意味が変わっちゃうでしょ!」

というような会話をしているんでありましょうか。してないか。


 こちらは,なにぶん隠れているのでよくわかりませんけれども,自転車がどうこうと書かれていると思われるカンバンであります。
 カンバンくん,やはり恥ずかしそうにガードレールの広い背中に隠れているんでした。隠れながらも,ちょっとこちらを気にしているようであります。広い背中のガードレールは,お父さんでありましょうか。

「こら。お前はいつまでもお父さんの後ろに隠れてるんじゃないっ」
「だって,恥ずかしいんだもの。あっ,あの人まだこっち見てるよぅ」
「見てもらえばいいじゃないか。それがお前の仕事だ。ほら,おねえちゃんだって隣でちゃんと立ってるぞ」
「でも,おねえちゃんも真っ赤になってるよ」
「あ。」

というような会話をしているんでありましょうか。してないか。


 オマケ。  こちらは特に恥ずかしがっているような感じもしませんけれども,これも親子っぽいので。
 電柱はやはりお父さんでありましょうか。右の子は,駐車場の入口に立てられている注意棒(とは言わんか?)であります。

 上ふたつの物件は仕草が親子っぽかったわけですけれども,こちらは格好が親子っぽいんでした。ペアルックというか,そろいのハッピというか。これからふたりで甲子園球場へ行くところ…みたいであります。

「よっしゃあ。ほなタイガースの応援行くでぇ。迷子になるんやないどー」
「なるかいな。お父ちゃんこそ,はぐれなや」
「生意気なこと言うとるとホンマに置いてくど」
「お父ちゃんにそないなことできるかいな」
「トラは我が子を谷底に落として,這い上がってきたヤツだけ認めるんや」
「それは獅子やがな。ライオンズやがな」
「あちゃー。そうやったかー」

というような会話をしてるんでありましょうか。してないか。
※例によって,関西弁および関西人のイメージはテキトーであります。関西の方は怒られませんように。

「矢印」は新潟市中央区・東幸町あたり。
「自転車」は新潟市西区・内野町あたり。
「阪神」は新潟市中央区・米山5あたり。