PTA物件



 街を歩いていてよく目に付くのが,交通標語や防犯標語なんでした。特に学校周辺や通学路なんかでは多くのカンバンが目に入ってくるわけであります。

 その内容は千差万別であって,よく考えるもんであるなと思ったりするわけですけれども,基本が五七五であって文字数が限定されていたり,学校や職場の課題として作ったりする関係上,なんだかオモシロくなってしまったりする標語も多かったりするんでした。

 そんなわけで,上の物件。
「ちょっとまて! あまいことばで やってくる」
とのことなんでした。

 まぁ,言わんとすることは雰囲気としてわかるような気もするわけでありますけれども,冷静に読み返してみると,何を言っているのかが逆にわからなくなってくるような気がしてくるんでした。

 一番無難な考え方としては,
「悪い人は甘い言葉をかけながらあなたを誘惑してきますから,よい子のみなさんはそういった誘いに乗らないよう気をつけるようにしましょう。少し冷静になって,よく考えて行動しましょうね」
ということではないかと思われるわけですけれども,果たしてそうなのか。

「この辺には甘いものが大好きな変質者がいます。『たいやき』とか『あんみつ』などと言うと追いかけてくるので,そういった単語を口にするのは家に帰ってからにしましょう」
とか

「そこの独身の人。あきらめるのは待ちなさい。異性などというのはちょっと甘い言葉をかけてやればあなたのところへやってくるのです」
とか

「なに?あそこでやってる『セクシーボイスコンテスト』の一等商品が欲しいの? ちょっと待ってて。アタシの甘〜い言葉でひとつやってくるから」
とか,そんな標語だったり…しないか。

 それはそれとして,もうひとつ気になるのが上のイラストであります。最初「こういう人に気をつけましょう」という意味合いのものかと思ったわけですけれども,ちょっと違うようなんでした。
 はい。拡大。


 帽子に「PTA」と書かれているんでありますね。
 この怪しげな人は,PTAの人なんでありましょうか。ちょっとそうは見えにくいわけですが。

 あるいは「PTAを装った悪い人がいて甘い言葉をかけてくるので気をつけましょう」ということなんでありましょうか。

 まぁ,モンスターなペアレントがいたりヘンタイなティーチャーがいたりする昨今なので,たとえ本当のPTAであっても気をつけなければならないという,先進的な標語カンバンなのかもしれませんけれども。


 こちらは
「東の子みんなで守り事故ふせぐ」
とのことなんでした。

 むぅ。これはアレでしょうか。宮崎県知事(2008年8月現在)の隠し子が実は新潟にいて,その子を守り抜くことが無用な事故を防ぐことになるので近所の住民は一致団結して守りましょうということなんでありましょうか。

 それとも,少年隊のメンバーの子どもか,八郎さんの子どもあるいは孫のことか,はたまたウルトラマンタロウの子どもなのか。

 なんにせよ,その子ひとりを住民全員で守るというのは,よほど特殊な子どもでありますね。
 宇宙人によって体内に反陽子爆弾とか埋め込まれてしまって,その子の心臓が停止すると爆発して地球が無くなってしまうとか,そういう事情があったりするんでありましょうか。ないか。

 実際は,この辺は東山の下小学校の校区であるので,「東の子」というのは「東山の下小学校の生徒」ということであろうと思われるんでした。

 そして,この標語は生徒自身の作品であると思われるわけで,すなわち「東の子みんなで守り」というのは「東の子を住民みんなで守る」のではなくて「東(山の下小学校)の生徒全員が(交通ルールを)守る」ということだと思われるんでした。自分たちがルールを守ることによって,事故をふせぐと。

 地域住民からすると,そういうのは自明だったりするわけですけれども,ヨソ者が見た場合には「ん?」となることが多かったりするわけなんでした。それゆえに,こちらとしてはオモシロくなったりするわけですけれども。

 なにはともあれ,これからも短い言葉の中で色々な想像のふくらむ標語を作っていただきたいものであります。

「ちょっと待て」は五泉市・石曽根あたり。
「東の子」は新潟市東区・小金町1あたり。