おしい物件



 さるお宅の軒先にある,雨どいであります。
 普通は屋根の一番端あたりから下におりて地面へ流すわけですけれども,こちらではすぐにおろさず,複数箇所の雨水を集めたうえで下におろしているようなんでした。
 写真には写っていませんけれども,この下は川というか用水のように水が流れていて,そこに雨水を落としているようであります。

 雨どいが空中で折れ曲がり連結されている様は,機械のアームが伸びているようにも見え,なんだかシステマティックでちょっとカッコいい感じすら覚えてしまうわけでした。

 ただ惜しむらくは,最後の下におりる垂直雨どいが,きちんと連結されていないんでした。これだと,集められた雨水がそのままダバダバと空中にまき散らされてしまいそうであります。
 最後にミスがあるというのは詰めが甘いというか画竜点睛を欠くというかなんとも惜しいところであります。

 しかしそういうところに目がついてしまうと,他のズサンさにも目がいってしまうんでありますね。一番上の雨どいなんかは重みに耐えかねて斜めになってしまっていて,雨が降ったら雨水がそのまま屋根から落ちていきそうだし。

 机上の設計では完璧だったんだけれども,実際運用してみたらダメでした。という感じであります。
 でもその辺が手作りのオモシロさであり,そのチャレンジ精神やよし,ということで愛すべき物件になっているような気がするわけでした。


 こちらは某政党のポスターであるようなんでした。
※私のスタンスが特定の政党やら団体やら個人やらなんやらを批判したり擁護したりするというものではなく目についた物件そのものをただ単に面白がっているだけなのだということは,ここへおいでの皆様にはもちろんわかっていただけていると思いますけれども,一応予防線を張っておきます。

 「打倒 CO2!!」
 まぁ,言わんとしていることはよくわかるわけですけれども,打倒してしまっていいのかどうかというところでありますね。

 政党の偉い人が,「やはり主食はパンではなくコーメーだ」ということを主張しようとして20倍ほどのとても辛いカレーライスを食べてしまって,ツラい思いをしたんでありましょうか。だからといってそのカレーチェーン店を打倒してしまおうというのはいかがなものでありましょうか。

 ということではもちろんなく,CO2というのはカレー屋さんではなく二酸化炭素のことであろうかと思われるんでした。
 だとしても,二酸化炭素を打倒してしまっていいんであろうかと思ってしまうわけでありますね。

 「打倒」よりはむしろ「妥当 CO2」の方が,地球というか生物環境としてはよりエコロ的であるような気がするわけですが。
 そしてそのキャンペーンとしてみんなで「CO2」というイレズミを彫り,「タトゥー CO2」とするのがよろしいんではないかと思ったりするわけでした。

 それはともかく,CO2の打倒であります。
 書いた方はわかって書いているとしても,これを見た無垢な子どもたちは「そうか。シイオウツーっていうのは悪いヤツなんだ」と思って将来地球上から二酸化炭素をホントにすべて排除してしまうかもしれないんでした。子どもの頃に覚えたことというのは,大人になっても抜けきらないものであります。

 子どもといえば,子どもは二酸化炭素を「にたんかさんそ」と読んでしまい,「にさんかたんそ」と「にたんかさんそ」,どっちが正しいのかわからなくなってしまうことが多いような気がするでありますね。

 確かに「に」の次は「さ」より「た」の方が発声しやすいと思われるわけで,「二炭化酸素」となってしまうのも無理からぬことのような気もするんでした。

 そして「二炭化酸素」というのがあるとしたら,化学式は「OC2」でありましょうか。
 これはすなわち「オウシイッー」ということであって,非常に「惜しいっ」ということなんでした。

 …いかかですか?こんなオチ。苦しいでしょうか。
 それはきっと二酸化炭素のせいなので,みんなで罵倒いや打倒いたしましょう。

「システム樋」は新潟市西区・槇尾あたり。
「打倒!!」は新潟市西区・五十嵐2の町あたり。