ネーム物件

ネーム物件



 さるお宅の門柱であります。
 塀をともなわない門柱,言わば独立門柱というのはそれ自体がもうトマソンになりかけであるような気がするわけですけれども,それでも入口の場所や敷地の境界を示すということにおいては有用なものと思われるわけで,なかなかそれだけではトマソンたりえない物件でもあるんでした。それはさておき。

 上の物件では,その独立門柱の前面に,「17−56」という数字を書いたプレートが貼られているんでした。
 通常この位置には苗字を書いた表札が掲げられていることが多いようであって,この物件の場合もかつては普通の表札があった痕跡が見えるわけであります。しかしそれを覆い隠すように数字が貼られているのを見ると,何かあったんであろうかと思ってしまうわけでした。

 まぁ,この番号さえあれば郵便物などは届くのかもしれず,個人情報云々が叫ばれる昨今,なるべく名前などは見られないようにしたいという人なのかもしれませんが。

 あるいは,どこかの塀の中で「1756号!前へ!」とか番号で呼ばれる生活が長かった人なのかもしれないでありますね。シャバに出てきたものの,番号の方が自分というものを実感できるようになってしまった人だったりするのかもしれないんでした。

 それとも,これはこれで名前なんでありましょうか。見る人が見ればわかる暗号になっているとか。
 そう考えれば,「56」というのはゴロウという名前なのかもしれない。では「17」は…。イチナナ…。イナ…。む。ひょっとするとここは,かのSMAPの稲垣吾郎氏の別荘だったりするんでありましょうか。稲垣でなくても,伊奈五郎さんあたりでも無理はなさそうであります。


 個人のフルネームを出すというのはそれこそプライバシーがどうとかいう問題であるので極力避けたいところでありますけれども,まぁ,うち程度のサイト内で見る限りは影響もあるまいということで,一部モザイク処理した上で物件と致します。もし影響あるようでしたらご一報を。モザイクなんかかける方がイヤらしい感じもしますが。それはともかく。

 ということで,上の物件。こちらは「五十■六七ニ」さんの表札であります。おそらく本名だろうと思いますけれども,大胆に数字をあしらっていらっしゃるんでした。「二・五・六・七・十」と,5つの数字。

 下の名前に「一二三」とか「六三四」とかつけるのは可能でありますけれども,この方の場合,苗字にも「五十」というのが使われているあたりがさすがであります。
「五十■」の「■」だけが数字でないわけですけれども,逆に全てが数字だとわざとらしくなってしまうような気がするわけで,結果オーライだと思われるんでした。

 それにしても,「六七ニ」とは何とお読みするんでありましょうか。「七五三縄」と書いて「しめなわ」と読むような,何かイワレを持った特殊な読み方があるのか。親御さんが二人ともロック大好きで,「ロックな二人の子」ということなのか。違うか。

 それとも普通に語呂を合わせて読むのか。ろくしちに。むなじ。ろくななに。ろなーじ。
 む。ひょっとするとここは,かのサッカー選手,ロナウジーニョ氏の別荘だったりするんでありましょうか。あの人の苗字「五十■」というのかどうか知りませんけれども。


 オマケ。
 むぅ。フルなのかハーフなのか,はっきりしてもらいたいところではあります。

 ここの社長さん,昔ハーフの人に振られたことがあって,それをバネにしてつくった会社が「振るハーフ」なのか。違うか。
 フル=100,ハーフ=50とするならば,五十歩百歩というのを社訓としている会社なのか。これも違うか。社訓が五十歩百歩というのもよくわからないし。

 実際はこの「フルハーフ」というのはfullでもhalfでもなく別な意味のようではありますが。しかしその由来を知らない人間が見ればどうしてもそちらを考えてしまうわけでした。
 この会社の面接試験では,必ず「フルハーフとはどういう意味かご存知ですか?」と質問されそうではあります。


 もうひとつオマケ。
「ネットトレーディング」というと,インターネットを使った株取引というような感じがするんでした。

 それで,こちらの会社もそういった関連なのかなと思ったわけですけれども,上に書かれている「小岩金網株式会社」さんのグループ会社かもしれないと考えると,この「ネット」というのは実際の「網」のことであろうと思えるわけでした。金網の輸出入とか。

 おそらくは今のようにインターネットなどというのが幅をきかせるずっと前から「ネットトレーディング」というハイカラな名前でやってきた会社。それなのにいつの間にか本来と違う意味が台頭してきてしまったわけで,社長さんも悔しい思いをしているんではないかと想像してしまうんでした。そうでもないか。

「1756」は新潟市西区・五十嵐中島5あたり。
「五十六七二」は新潟市中央区・長嶺町あたり。
「全部半分」は新潟市中央区・明石1あたり。
「網取引」は新潟市中央区・笹口3あたり。