マツゾノ物件2


 さて。「マツゾノ物件」をやったのはつい最近でありますけれども,その第2弾であります。
 もうちょっと間をおいてもいいかなと思ったりもしたわけですけれども,写真を並べてみるとどうしてもこのシリーズが目に入ってしまうもので,この辺で小ネタ的に大放出を,と思ったわけでした。まだ,これですべてというわけでもないんですが。


「不審者を みんなが監視 防犯町内」であります。

 これはまぁ,良いことなんだと思いますけれども。しかし,どの辺から「不審者」であるのかというあたり,明確になっているんでありましょうか。

 きょろきょろしながら街を徘徊し,あらぬ方向にカメラを向けてにんまりしていたりする人間は,まぁあからさまに不審者かもしれませんけれども,普通の旅人(いるのか?)が迷い込んだりした場合も,監視されてしまうんでありましょうか。

 視線を感じて振り向くと,さっと目をそらされる。違う方向を向くと,またじっとこちらを見つめつづける。この辺の住民は,そのような訓練がされているんでありましょうか。
 そんな視線を四方八方からあびせられていると,気づかないままに消耗してしまいそうであります。視線をあびせ続けるほうも,消耗するかもしれませんが。


「おかしいな 不審な物音 近所が駆けつけ」であります。

 これは,とり方によっては
「変な物音がするだけで近所の人が駆けつけてくるなんて,プライバシーの侵害だ。それはおかしいんじゃないのか? この前なんかビデオの『もうダメっ。死んじゃうっ』というセリフに反応して近所の人が部屋の中へ駆け込んできたし。いやまぁ,どんなビデオだったかはその,まぁ,そんなことはどうでもいいじゃないですか」

 という否定的な意見として読むこともできますけれども,実際はやはり「不審な物音がしたら駆けつけるのがここの住民たるものである」という肯定的お言葉だと思われるんでした。

 これもまぁ,住民全員が不審な物音に敏感にならなければいけないわけで,それもまたご苦労様であります。不審な物音がしばらく聞こえないと「くそ。不審な物音はまだか?」と,イライラしてきたりするんでありましょうか。


「笑顔が うれしい 松園町」であります。

 やはり,常に不審者を監視したり不審な物音を待ち受けていたりすると,笑顔がなくなってくるんでありましょうか。
 そんな中,ごくたまに見ることの出来る笑顔がうれしいと。そういうことなんでありましょうか。違うような気もしますが。


「じいちゃんばあちゃん 子供が住みやすい 松園町」であります。

 むぅ。やはり老人子ども以外の大人は住みにくいんでありましょうか。
 確かに,不審者の監視や不審物音待ち受けという常時警戒態勢は,子どもや老人にはタイヘンかもしれず,それは一般の大人の役割なのかもしれませんが。

 常時眉間にしわを寄せ,不審な人物や物音に注意していなければならない大人たち。しかし彼らの険しい表情のおかげで,老人子どもは笑顔になれるのかもしれないでありますね。違うかもしれませんが。


 …これはいったいどうしたんでありましょうか。何も書いてありませんけれども,ついにネタぎれなのか?

 あるいは,無言の圧力なのか。ゴルゴ13の吹き出しの中が「…」だけでもそれが凄まじい威圧になるように,何も書かないでいることによって不審者を威圧しているんでありましょうか。このままそこに立っていると,ライフルで眉間を撃ちぬかれてしまいそうであります。

 何も書かずに不審者を威圧するという,こんなテクニックまで使ってくるとは,さすがに百戦錬磨の自警部でありますね。考えすぎのような気もしますが。

 ちょっと殺伐としすぎでありましょうか。そんなわけで,最後にちょっとほのぼの系のカンバンを。


「どろぼうびっくり 松園の 団結力」であります。

 なんだかちょっとカワイイでありますね。
 小太りでほっかむりをしてドロボウひげを生やして太い横縞のシャツを着てひざにツギのあたったズボンをはいて唐草模様のふろしきを背負った昭和時代のどろぼうが,目に浮かぶようであります。

 確かに,その昭和のどろぼうでは,百戦錬磨であるこの町内の人たちには太刀打ちできそうにないでありますね。
 びっくりして逃げ出そうとしてもすでに住民全員に取り囲まれており,なすすべもないまま住民に押しつぶされ引き裂かれ,命乞いも虚しく住民の去ったあとには骨のかけらも残らずに唐草模様のふろしきの切れ端が風に吹かれるだけ…。

 しまった。ほのぼの系のつもりがホラーになってしまった。

「監視」「物音」「笑顔」「ジジババ」「…」「びっくり」はすべて新潟市東区・松園1,2あたり。


 …と,一生懸命な自治会さんに対してまたしてもチャチャを入れるようなことを書いてしまいましたけれども,その取り組みに感心しているのは本当であります。いやホントに。決してウソではなく。
 だから,また私がマツゾノ方面を歩いたとしても一一〇番へ網いだりしないでください。お願いします。