クルマは物件
クルマは物件
迫真の表情でハンドルを握り「狂魔(くるま)はこわい」ということを体現している男性のカンバン。
これはだいぶ前の「VOW」にも掲載されていたし,交通量の多い国道に面して立てられているので,ご存知の方も多いんではないかと思われるんでした。
私もこのカンバンの前は比較的よく通るので,そのたびに「うーん。狂魔はこわいのだなぁ」と思っていたんでした。しかしながら,同時にちょっと何かひっかかるような気もしていたんでした。
まずは,この顔でいきなり「狂魔はこわい」と一言主張しているだけというのは,あまりにも唐突ではあるまいか,ということ。まぁ,それゆえにインパクトのあるカンバンになりえているとも言えるわけですけれども。
それから,「狂魔はこわい」というのはこの人が怖い思いをしたということなのか,それともこの人が怖い存在「狂魔」になってしまっているということなのか,ということ。この人の表情は恐怖というよりも狂気という感じなので,どちらかというと後者かなという気はするわけですが。
そんなことを常々思っていたわけですけれども,今回この辺を歩いたところ,このカンバンには裏面があることがわかったんでした。
それがこちらであります。
なんだかすごいバランスの車が白い画面の中に描かれていて,上の方には「乗り方ひとつで…」。
さすがにこれで完結とは思えないので,やはりこれは裏面の「狂魔はこわい」へつながるものだと思われるんでした。
つまりは,このカンバンは表裏一組で「乗り方ひとつで…狂魔はこわい」という作品なんでありますね。
そう思ってあらためて見ると,最初は比較的淡白に「乗り方ひとつで…」として,(む。なんかヘンな車の絵だけれども,乗り方ひとつで…どうなるというのだ?)と思わせておいて,その裏にまわるとあの濃い,インパクトのある絵で「狂魔はこわい」と断ぜられるという,非常に巧妙なカンバンであるように思われてくるんでした。
ただ,惜しむらくはこの「乗り方ひとつで…」は国道に背を向ける形になっていて,国道に直交する道路からは見えるわけですけれども,その道を通らないドライバー・歩行者はまず見る機会が無いんでした。それはもったいない。風神図だけ見て雷神図を見ないようなもんであります。
そして,文脈からしてやはり「狂魔はこわい」の人は乗り方をひとつ間違えてしまって,自らが狂魔の一部となってしまっているんでありますね。
まぁ,乗り方を間違えなくても,このやけにタイヤのデカい車を選んでいるという時点ですでに「狂魔」になっているような気もしますけれども。
オマケ。
一番「狂魔」になってしまいやすい「乗り方ひとつ」は,やはり飲酒運転であります。そんな誘惑にかられたときに,やさしい関西弁っぽく「酒,よしや。」と諭されれば思いとどまることができるかもしれないんでした。
それを店名としている酒屋さんが繁盛しているのかどうかはわかりませんけれども。
オマケの2。
狂魔になってしまった人は,おまわりさんもお手上げであります。
そしてその末路はといえば,やはりあの世でありましょうか。お地蔵さんが救ってくれればまだいいですけれども,狂魔は救ってはくれないかもしれないでありますね。
みなさまも狂魔にならないように安全運転いたしましょう。
お。なんかマトモなこと言うサイトっぽいぞ。
「狂魔」「乗り方」は燕市・富永あたり。
「よしや」は新潟市中央区・姥ヶ山2あたり。
「お手上げ」は燕市・富永あたり。