コウベを物件



 道路工事の現場なんかでよく見られるカンバンのようであります。
 通常は「工事中」とか「右へよれ」とか「スピードを落として」とか書かれていたり,頭を下げた工事関係者の絵,いわゆる「オジギビト」が描かれていたりするものでありますね。

 しかしこのカンバンの場合は,カンバンそのものが頭を下げているんでした。よほどあやまらなければならないことがあったんでありましょうか。
 ところがその誠実な態度とは裏腹に,いやその誠実な態度が故に,肝心の「伝えなければならないこと」が伝わらなくなってしまっているんでした。
 感情のおもむくままに頭を下げてしまって自らの職務を怠っているわけで,プロとしては失格であります。人間としては正しいかもしれませんけれども。いや人間じゃないですが。

 あるいは,この下げた頭(なのか?)の見えないところでは,舌を出してニヤリとしているのかもしれないでありますね。見たところ,この先の道路では工事をしている気配は無いし。
 実はこのカンバンには「通行料1万円」とか書いてあって,不用意に道路に入るとコワいお兄さんが出てきて脅されたりするのかもしれないでありますね。そして文句を言うとカンバンを元に戻して「ここにちゃんと書いてあんじゃねぇかよぉう」などと言われてしまうのかもしれないんでした。

 あらかじめカンバンを折っておくことによって他人から金品をゆすりとるという新たな手口,「折り折り詐欺」かもしれないでありますね。
 …くだらなくて申し訳ない限りであります。


 こちらはさるお宅の庭に生えている樹木であります。なにやら果実がたわわに実っているようでありますけれども,なんだかちょっとツラそうに思えてしまうんでした。

 本来の太い幹はバッサリと切られていて,途中から伸びる一本の枝の先のみにたくさんの実がなっているわけで,そのアンバランスな力の入り方がツラそうに感じられるんでした。
 大物を釣り上げている最中の釣り人とか,ギプスをつけながら投球練習をしているヒューマのようであります。

 まぁ,木からすればたまたま枝が一本になっているだけであって,たいした重さではないのかもしれませんけれども。
 それでも枝がうねうねと波打っているあたりは,やはり重いのかなぁ,実のあるときの無いときで枝の生長方向が違うのかなぁ,などと思ってしまうんでした。


 こちらは,たまに畑で見られるカカシ代わりのマネキン首であります。以前の物件にもありましたけれども,あたかもナマクビ畑なんでした。
 見るとちょっとビクッとするわけでありますけれども,ビクッとするのは人間だけであって鳥なんかは平気なんではあるまいかという気もするでありますね。

 人間がこれを見てビクッとするのは普段見ることのない「人間の生首」を見るからであって,動物からすれば単に人体のパーツが置いてあるだけであり,むしろ追って来る足や攻撃する手のない「首だけ人間」なんかは恐くないんではあるまいかと思ったりするんでした。
 いや,鳥に実際聞いてみると意外とビビってるのかもしれませんが。


 同様のナマクビでありますけれども,こちらはビニールハウスの中にいるナマクビ君なんでした。
 ビニールハウスの中なので鳥なんかはあまり入ってこないような気もしますけれども,これはむしろ人間よけなんではあるまいかとも思われるでありますね。

 夜,ハウスからなにか盗っていこうと侵入すると,ナマクビ君が見ていると。これはやはりビクッでありますね。夜これを見るというのは,マネキンとわかっていてもちょっとイヤだろうと思われるんでした。
 そして「なんだ。マネキンかよ」と思ったあたりで首がギギギギと回りだしたり目が光ったり口が開いてしゃべったりするとまた効果アップかもしれないんでした。サンダーバード世代には効かないかもしれませんが。


 横から見た,同じナマクビ君であります。
 ハウスを守るという使命に燃える彼の真っ直ぐな視線は,やましい心の持ち主を射抜き,更生させているのかもしれないんでした。これからもがんばっていただきたいものであります。

「折り折り」は新潟市中央区・上所中2あたり。
「たわわに」は新潟市中央区・南万代町あたり。
「ナマクビ畑」は新潟市中央区・長潟あたり。
「ナマクビ君」は新潟市西蒲区・仁箇あたり。